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【新譜レビュー】OGRE YOU ASSHOLE - 家の外 E.P.

2023年新譜。CD。現時点では公式Web shopかライブ会場物販のみ。全4曲シームレスに繋がる組曲形式で3分+5.5分+4.5分+12分で計25分。
ライブ(実際に見たこと無いのでYoutubeとかworkshopシリーズからの印象だけど)の、サイケとクラウトロックが一体になったような雰囲気を音源でやっている、という印象。とてもいい!
1.「待ち時間」はインスト。シンセのシーケンスのように単調なベースとノイズのように使われるシンセとギター、四つ打ちドラム。なんとなく、2015年くらいのにせんねんもんだいっぽい。
2.「家の外」は前曲を発展させた曲調にギターのカッティングが絡んでどこかファンクっぽい感じが面白い。暗くないのに不穏、といった印象の妙なシンセフレーズを伴いつつ曲はローテンションのまま進むが、どんどんギターが歪み、ノイズが増えてゆく。歌詞は「家の外で誰か(何か)を待っているけど出てこない」というだけの内容。
3.「ただ立ってる」はドラムマシンによるチャカポコした貧弱なリズムと単調なベースリフ、サイケなシンセ音と盛り上がらなすぎる歌によるインタールード的な楽曲。空虚なベースとサンプリングの吐息っぽい音声の絡みがクセになる。歌詞は「ずっと待っている」というだけの内容。
最終曲4.「長い間」は12分の大曲。アップテンポなリズムとディレイの聴いたギターで「ハンマービート」のパブリックイメージに近い、めちゃくちゃかっこいい曲。歌詞は「私は作られ放置されたまま待ち続けている」というような内容。
25分1曲として捉えるべきだろう。

壮大で、酩酊感と虚無感に満ちた素晴らしい1作。
ふつう「家の外観」としてみるべき絵に「家の外」というタイトルを与えることでその場に立ち尽くす主体としての視点をこちらに提起してくれるアートワークも素晴らしいし、冗長を極めつつ不穏さを散りばめた歌詞も「死の匂い(homely)」「終末後の世界(100年後)」「上っ面だけの作り物の世界(ペーパークラフト)」など、過去作のどのモチーフを連想するかで聴き心地が変わるのが楽しい。
オウガをこれまで聴いてこなかった人でも、クラウトロックとかハンマービートが好きな人にもおすすめです。

oyashop.shopselect.net

※トップのアートワーク画像は下記リンクより引用
https://ogreyouasshole.com/information/2805