はじめに
【告知】hiroyuki chiba.氏のイベントでハーシュノイズやります!
— ugogg (@ugogg) 2024年5月17日
7/20 於:酒田市港座 18:00開演
一般2,500円 高校生以下無料、ペア割あり +ドリンク500円
【出演】
Hiroyuki chiba
MOSHI-MOSHI(山形)
にゃーんず2号
Ugogg(山形)
予約は港座か出演者へ!https://t.co/9fI7vw6ABS pic.twitter.com/U6F0AweGLF
港座無事終了!!久しぶりのノイズライブで学ぶこと数多でしたが現時点でやれることはやれた感じなのであとは精進あるのみ
— ugogg (@ugogg) 2024年7月20日
お誘い&セッションしていただいた千葉さん、対バンの皆さん、ご来場いただいた皆さんありがとうございました!(自分の写真とか動画とかないので持ってる人いたらください) pic.twitter.com/zVRxLA1ncZ
先日8年ぶりくらいに人生3度目くらいのノイズのライブをやりまして、機材が一般的なセオリーと若干違う気がするので世のノイジシャンやノイズを始めたい人の参考になればと思い機材の紹介をします。
偉大なる先達の発信(下記)を自分も大いに参考にしてきたので見習っての投稿です。
機材を組むにあたっての前提
・間断なく変化し続けるハードコアなフリージャズのインプロに近いノイズを目指す。
・音について、変化はするけど別に多彩でなくて良い。サックスソロだってサックスの音しか使わんやろがいという気持ちで臨む。
・宅録機材の延長で組めるセッティング。
・安く 安く
全体像
図解
ノイズセクション
メイン音源
1 KORG monotron
すでに生産を中止した、いわゆる無印。ノイズ制作をスタートした2015年頃からずっと現役。
可聴域まで至る広いレンジでエグいサウンドを生むLFO、シンプルなつまみ、汚い逆ノコギリ波サウンド、安物すぎてほっとくと鳴り続けるホワイトノイズ、片手で全域カバーできるリボン鍵盤など長所も短所もすべてが今のサウンドの要。
以下に列挙するエフェクターは、基本的に本機のシンセサウンドを汚く&太く&鋭くすること、そして本機から勝手に鳴り続けるホワイトノイズをファットなノイズウォールにするために使う。
鍵盤をホールドする機能がないので、画像内にもあるスポンジを噛ませた強力クリップで鍵盤を挟みホールドする。ただ演奏の柔軟性がなくなるのであえて単調な展開を作りたいときを除き、基本的には指で演奏。
monotron delayも持ってるけどちょっと操作ミスると制御不可能&収めるのが面倒なくらい発振するのが使いこなせないので未使用。monotron duoは無印に比べるとおとなしいもののX-MOD機能をうまく使いこなせれば似たような使い方ができるかも。
2 ROWIN HOLY WAR DISTORTION
安いディストーション。ギターで使ったことがないのでよくわからないけど、メタルファンなら名前で想像がつく通り切れ味の鋭い音になる。ハイゲインとローゲインを使い分けられる。個人的なスウィートスポットが明確なので演奏中はあまり触らない。安い。
3 VOX V847-A
定番のワウペダル。音をコワー!ギョワー!と変えるのはもちろん、踏んでオンにするだけにしてペダルは動かさず、音を汚くするのにも使う。いろいろ試してみて、この位置が一番好みの音になった。
4 TC ELECTRONIC Fangs Metal Distortion
ディストーション。つまみがでかくていじりやすい。EQの効きがわかりやすいので演奏中時々触って音の質感を変えるのに使う(特にLOWをぐりぐり触ると結構変わる)。スイッチでRAW/FAT/SCOPの音色が選べて、かなりがっつり音が変わる。SCOPは結構トレブリーで使うタイミングを選ぶ。
5 BOSS MT-2 Metal Zone
ご存じメタゾネ。ぼろぼろの中古を買ったためつまみの軸がグネグネに歪んでいるのに普通に回せる。全部フルテンにしつつMID FREQだけ時々触り音色を変える。ただあまりがっつり回して音がコワーッ!と変わるのが個人的にはダサくて苦手なのであまり大胆には触らない。
ここまでは直列。
6 ELECTRO-HARMONIX Switchblade +
いわゆるABボックス。AorBだけでなくA&Bの出力ができるので使っている。あとLED光らなくてもいいならパッシブで使える。ただなんかノイズ系の爆音を入力するとなるとうまく分岐できないようで、片方だけオンにしても音漏れするので実態としては「分岐&どっちかの音を気持ち弱くできる箱」として使っている。これを使って下記の2つのエフェクターに音を分けている。
7 DOD fx86B DEATH METAL
血糊のようなペイントとスプラッターなパラメータ名がキュートなハイゲインディストーション。Digitechじゃないほう。フルテンで使うとパブリックイメージの「轟音」を作るのに最適。轟音でありつつ音が潰れず(壊れはする)鋭いサウンドなのがお気に入り。
8 MASF Pedals Kidnapper
同ブランドのノイズボックスscmに最適化されているというオクターブダウンファズ。旧モデルなのでオクターブダウンの切り替えは2パターンのみ。
SAWの値をうまく調整すると原音を完全に侵食しエッグい低音のムギャギャw/ブギョギョw/ボモモwというサウンドが得られるんだけど、原音の鋭さが完全に失われるため直列を避けている。
9 DOD 240 Resistance Mixer
完全パッシブのミキサー。上記7(鋭いディストーション),8(潰れた低音),を合流させるために使う。終端のミキサーに2つ差すよりここでミックスして1chにしちゃうほうが何故か音が太くなる。見た目のわりにかなり重いしパッシブなのでブーストができない(抵抗で減衰させるしかない)んだけど、頑丈だし音痩せも気にならない。Behringerの似たような形のアクティブミキサーも試してみたけど音痩せがひどくて話にならなかった。
10 BOSS RV-6 Reverb
デジタルリバーブ。実質シマー専用。歪ませたmonotronの倍音とうまくかみ合うと不愉快かつ荘厳な「スカム・シューゲイザー」とでもいうべき音になるのが好きで、ここぞというときのクライマックスのために使っている。
11 Behringer SF300 Super Fuzz
9mmのギターが大暴れするときに踏んでいたことでおなじみ。ただ一般的にノイズミュージックとか飛び道具的に使われるFUZZ2モードではなく、Boostモードで最後尾に使っている。ミキサーでゲインを上げるよりはるかに鋭くかっこいい音が出るのと、リバーブのデジタル感をごまかすため。上掲HAIZAI氏のnoteでは似たような使い方でZ.Vex Super Hard Onを推薦しており、気になっている。
12 Bananana Effects Mute SW
アケコンみたいなモメンタリースイッチが使われたキルスイッチ。急激なストップ&ゴーに使えるかと思ったけどスピーカー飛んだらどうしようと日和ってしまい当日のライブでは使わず。宅録ではよく使う。
ボイスセクション
ハーシュノイズやパワエレだとエフェクター等で潰し切った絶叫/アジテーションが良く使われるけど、個人的にはあくまで歌唱技術でエクストリームメタル系の声を出して、それをノイズに馴染む程度に音を弄りたいという思いがあったので、こちらは簡単なセッティング。
メイン音源
13 CLASSIC PRO CM5
いわゆる「ゴッパチ」のパチモンダイナミックマイク。滅茶苦茶安いので。
14 VOCU Magic Mic Room
「マイク用プリアンプ」「フォンジャック」「安い」を満たす製品。マイクをギターエフェクターにつなぐために導入。
15 Guyatone SD-2 Sustainer D
可愛い見た目の反面ファズっぽく下品で強い音が鳴るディストーション。音も見た目も最高。あくまで声主体にしたいため、これはフルテンにはせずあくまで声を程よく歪ませる程度にした。
16 Behringer VD400 Vintage Delay
声にエコーをかけたくて手元にあったこれを使っているだけ。コッコッコッ……というイメージ通りの音がするアナログディレイ。発振もするけどそれは使わない。ライブではPAとの打ち合わせをミスって色々都合がつかなくなったのでごく短時間のみ飛び道具的に使用。
ミキサー
MACKIE MIX8
アナログミキサー。上述の両セクションをこれにぶち込んで、これのOUTから会場のDIを借りてPAに流した。自宅にてヘッドホンでモニタリングしながら作った音との乖離をなるべくなくしたいのでアンプは不使用。
その他
電源:Furman SS-6B
自宅の電源タップでは複数アダプターをさせるデカいものがなく、どうせ買うなら音楽用のものをと思い導入。音とかはよくわからないっす……ただミキサーもパワーサプライ(後述)も電源スイッチがないので、本器で一括オンオフできるのは便利。
パワーサプライ:VOCU Baby Power Plant Type-A
安くて小っちゃくていっぱい差せるるので。ただ本来アイソレートされてないパワーサプライにデジタル/アナログエフェクターを両方差すと音が悪くなるのでやっちゃだめらしいけど、聞き比べた結果「まあええか」と思い足元に置くワウを除く全機の電源はこれでまかなっている。
ケーブル:しらん
なんか昔ハードオフで買ったやつとか、人からもらったやつとか、CLASSIC PROのハチャメチャな安物とかが混在。将来的にはオヤイデとかの買って聴き比べしてみたいけど現状はこんなもんで満足。
ケース:CLASSIC PRO CPEC400
安い、重い、ちょっと小さい。もうちょっと大きいのにしたい。安い割には頑丈。同ブランドの「LITE」シリーズはたぶん避けたほうがいいと思う。
スタンド:CLASSIC PRO KST40(写真には写っていない)
エフェクターボードとミキサーを載せる。キーボードスタンドというとX字の方が定番だけど、乗せるもののサイズによっては融通か効かないかなと思ってテーブル型のこちらに。
結果、家で使うぶんには正解だったけど、普通のX字スタンドよりはるかに上の7kgという重量を誇り運搬が本当に嫌になるので、X字スタンド&デカめのベニヤ板とかにすればよかったかと思っている。
どう演奏するの?
monotronを「触ってないときはノイズウォール発生器になるシンセ」と位置づけ、ずーーーーーーーーーーーーーーーーーっといじくりまわしながら、時に指を離してノイズの音質を変えながら、常に大声を出す。いわゆるテーブルコアと言われるこてこてのハーシュノイズと違い、エフェクターは時々音色を変化させるためにいじる程度で、ほとんどの時間をmonotronのリボンとつまみをいじることに費やします。あとワウも踏みます。コツとしてはmonotronから出る音を体感で熟知すること、時々指を離してホワイトノイズをうまく組み込むこと、勢いを絶対に落とさない根性、偶発的に出た音をリフレインや展開に活かすための途切れない集中力などです。慣れればエグいドローン、無機質なインダストリアル、フリージャズのようなフリーキーなリードなど意外とこなせます。
ノイズの練習がんばっとるわ!!!!!!!!!! pic.twitter.com/kAnUAhDCG1
— ugogg (@ugogg) 2024年7月10日
スマホで録ったプアーな音だけどこんな感じの音になります(これは声が入ってないけど)。
終わりに
あまり参考にならない構成だとは思うけどノイズを始めるハードルが下がる記事にはなったかと思います。ノイズやろうノイズ。