米沢エクストリーム楽しかったな…動画は初見2バンド、sleepやacrimonyのセンスを吸収したKarma to burnといった風情で気持ち良過ぎるインストストーナーgohouと、爆走と複雑なブレイクのコントラストがクールなDisobeyed Demagog pic.twitter.com/S6w5sWc57a
米沢エクストリーム、すごく良かったです。特にgohouはすごかった。上記ポストに書いてあるけど、ただでさえ渋すぎるインストストーナーというスタイルで、基礎には偉大なる先達たるKarma to Burnを感じさせつつも、各パッセージにはSleepのような大仰な酩酊感を持ち込み、しかし構成はKtBバリにカラッとまとまっているのが最高。 今年は私が出演するライブやはるまげ堂関連を除いても山形のメタル/ハードコアイベントが多く、熱量の高まりを感じている。私はほとんどのケースにおいて主体者ではないけど、少しでも関わっていきたいですね。
アメリカのニュースクールハードコア/メタルコアバンド、26年ぶり3rdフル。CrimethInc.リリース。 クラスト/ネオクラストと、Integrityのような暗いメタリックハードコアの中間のような音楽性。音の雰囲気は「Mix:Kurt Ballou」で想像できる通りのもので、旧作と比べ段違いに音が良い。 伝説的バンドの復活作という文脈を抜きにしても(後追いなので個人的に感慨はゼロ)楽曲のクオリティが凄まじく高い。特に長尺曲における、複雑さを持ち込まずにひねりを利かせる構成が素晴らしく、2."Power"はクリーンボーカルを経てトーンダウンする中間からほぼワンフレーズの変奏だけでカタルシスを生み、4."Eremocene"は2:25あたりからの極めてシンプルな刻みリフが展開の妙でクライマックスとして成立してしまう。 6."We Live"のイントロ後のリフ、7."Last Words"のギターソロなど、アルバム後半もフックに溢れ隙がない。 寓話性をまとわせながら徹底して権力へ抵抗する勇気を呼びかけるカウンターカルチャーな歌詞も熱い。"And yet still there are some who can only rebel. For peace with our masters means war with ourselves."(2."Power"より)など、奮い立たされる言葉に溢れている。なお、リリースインフォにて謝辞とあわせてパレスチナへの連帯が表明されている。
カナダのテクニカルデスメタルバンド9thフル。Season of Mistリリース。 前作"As Gomorrah Burns"(2023)はOSDM由来の比較的シンプル(彼らにしては)なパッセージをやや多めに導入し、良くも悪くも聴きやすさがあったが、本作ではまた若干の路線変更があり、「メッチャクチャ速いのになんかキャッチー」という、ある意味で伝説的2nd"None so Vile"(1996)に近い聴き応えがある作品に。 大きな特徴の一つが、ときおり顔を出すブラックメタル的メロディ。ブラックメタル要素の導入は今どきありふれているが、Cryptopsy印の楽曲に組み込まれるだけでだいぶユニークな雰囲気になる。 もう一つはvoの多様さ。voのMatt McGachyは"The Unspoken King"(2008)でメタルコア~スクリーモ風、"Cryptopsy"(2012)ではデスコア風、"As Gomorrah Burns"はOSDMっぽいグロウル、とアルバムに合わせてスタイルを微調整してきた超器用なシンガーだが、本作ではそれらを総括するような大活躍。歌詞がギリ聞き取れそうなオールドスクールなグロウルを基調としながらもそのキレは前作の比ではない。高音の喚き声は、これまでのヒステリックなものよりブラックメタルに寄せたざらつきの多いニュアンスに。5."The Art of Emptiness"冒頭で聴ける薄気味悪い語りパートも良い。 前作ではやや押さえていたように感じられた、DrのFlo Mounier名物「スウィングするブラストビート」が過剰なまでに使われているのも嬉しい。
スウェーデンのデス/ドゥームメタルバンドの、結成35年目にして解散直後にリリースされた。最初で最後のフル。Pulverised Recordsリリース。 重さと引きずるような遅さを兼ね備えた典型的デスドゥーム。1."The Beyond"ですぐわかるように、時折挟まれるゆったりと陰鬱なギターメロディの質が極めて高く、シンプルなリフレインでありながら楽曲の山場として機能する。 Dan Swano(Edge of Sanity)の怒号スタイルを極めたをような低音グロウルvoは、ローテンションながらかなりの迫力で、歌い手としてだけでなく語り部としての説得力もある。 なにか斬新なものがあるわけではないのだが、デスドゥームに求めるすべてが入っている最高の作品。
スウェーデンのデスメタルバンド2ndフル。Transcending Obscurityリリース。 デスメタルと言ってもその音楽性はかなり異様で、メロウなポストパンクとデスメタルがそのままくっついたかのようなスタイル。 ブラスト、トレモロリフ、苦悶するようなグロウルで構成されるオーソドックスなデスメタルを骨子としながら、その上ではSiouxsie And The BansheesやNew Orderのようなクリーントーンギターが平然と鳴っている。1."I Reached The Mew"や3."Cough Choir"のようなミドルテンポで始まる曲になると、もう冒頭でデスメタルと判断することは不可能。それぞれのフレーズはとてもキャッチーで、2."Grave Dog"のエンディングなんかは爆風スランプの熱血系楽曲(『神話』とか)っぽい。最後の8."The Waking"はミドルテンポの不協和音デスとドラマチックなニューウェーブが次第に混ざり合っていく構成が見事。 一発ネタに終わらず、コズミックデス系と全く違う方法論で「不穏かつ開放感のあるデスメタル」を表現することに成功している。
ドイツのブラックメタルバンド2ndフル。 Darkness Shall Riseリリース。 bandcampプロフィールでは自身のジャンルを「apocalyptic mixture of Death, Doom and Black Metal」としており、1stフル"Game Over"(2022)ではポストメタルとデスドゥームとブラックメタルがくっついたような音楽性を披露していたが、本作は大きく路線変更し、印象は昔のプログレに近い。 ゆったりしたポストブラック(あるいはドゥームメタル風ブラック)を基礎としつつ、今作から浮遊感のあるレトロなシンセを全面的に導入。しかしポスブラっぽい明るさはなく、バンド名(放射性廃棄物の最終処理場候補地として大揉めしたドイツの地名)とアルバムコンセプト(終末論)に沿って、常に諦念と不穏さが満ちた悲観的なメロディが奏でられる。言ってしまえば「70年代プログレのしみったれた暗い曲」のセンスをポストブラックを通じてアップデートした作品であり、自称のジャンル名は正直芯を食っていない。意図的であろう軽めでオーガニックな音作りもこのイメージを強化している。最終曲4."Meneketel"だけはミュートの効いたメタリックなギターリフ→明るいエンディングという流れが聴けるのだが、タイトルの意味が「行進」、アルバムコンセプトが人類滅亡と考えると暗澹たる気持ちになる。 一風変わったメタルが聴きたい人におすすめ。あと1stがつまらなかったという方にも一聴を勧める。
日本のハードコアバンド6thフル。自主レーベルKITASHINJUKU RECORDSリリース。 怒号とポエトリーラップが入り混じった独特の日本語詞voと、展開の全く読めないショートカット楽曲が特徴のバンド。音作りも、ヘヴィネスやラウドさよりもアタック感を極度に重視。「過剰なストップ&ゴー」の代表ジャンルであるパワーヴァイオレンスとも趣を異にする独特の立ち位置にいる。 本作は、ドライで攻撃的な路線の集大成3rd"Could You Be Loved?"(2014)までと、クリーンパートが増えメロウな雰囲気のある4th"I LOVE YOU"(2018)、5th"PROTECT US"(2019)の両路線が昇華された集大成。激しさと優しさ、不穏と安心が同居したような楽曲が多い。5."無味無臭"あたりは特にわかりやすいか。 静と動、速と遅が一瞬で吹き抜ける快作。
日本のオルタナティブロックバンド1stフル。tomoranリリース。 女子高生二人の卒業を描くコンセプトEP"kimi wo omotte iru"(2022)はシューゲイザーっぽい雰囲気もあったが、本作にその印象は弱い。1."kurayamisaka yori ai wo komete"のメリハリの効いた轟音はシューゲイザーというよりポストハードコアだし、5."nameless"6."evergreen"の乾いたリフ使いはフォーク~エモのイメージ。 7."sekisei inko"のガサツで明るいリフはOasisっぽいし、性急な2ビートで疾走する12."あなたが生まれた日に"は完全にハードコアパンクだ。 voは過去作の儚さを維持しつつも声量が増え、元々歌メロにあった歌謡曲感が際立ち、いい意味で「慣れ親しんだ歌謡ポップ」の雰囲気を出している。 歌詞も時折入るひねりが素晴らしく、"evergreen"における、曖昧な感傷が一瞬で他者への情念へ集約する「君が間に合わないように」や、"kurayamisaka yori ai wo komete"と"あなたが生まれた日に"で人生の極大から極小まで総括する意思表明として機能する「財布の中身すべて」などが特に印象に残る。 楽曲順もほぼ完璧と言ってよく、聴き通す体験に価値を見いだせる作品。
アメリカのゴアグラインドソロ・プロジェクト、3rdフル。Gurgling Goreリリース。 元々メロディックデス/メロディックブラックっぽさの強いプロジェクトだったが、本作はほぼ「ブラスト多めでvoがゴアなメロデス」と化しており、しかもメロディの質がやたら高い。聞き取り不能なvoと合わせて「デスグラインド化したIntestine Baalism」なんてたとえも思い浮かぶ楽曲が連なるが、1曲目などときにはバロックな感じのシンセも適宜挿入。 「ゴアグラインドなのにメロディアスで草」というジョークではまったくなく、むしろこれでゴアグラインド要素を脱色してしまったら売れて売れてしょうがないだろうという良曲が並ぶ。メロデスのファンなら、4."Cult of The Firehealers"の全メロディ、6."Remedies of Pagan Medicine"のギターソロ等に拳を突き上げねば嘘というものだろう。一方で8."Palms of Psoriasis"10."Cardiac Scars Forever"はメロディックパンクのような爽やかなメロディで構成されるなど、メロディの種類も意外と幅が広い。メロデスの中にメロディックパンクが入っているとちょっと冷めてしまいそうなものだが案外そう思えないのは、実はゴアvoがアルバムを一つにまとめあげているからかもしれない。 大真面目に「ゴアグラインドメロデス」の新境地を開拓している意欲作。
ドイツのチェロ奏者ソロ1st。Ideologic Organリリース。 教会で録音されたという、チェロのみによるドローン音楽。多分和音や微分音へのこだわりがあるのだろう(私はそこら辺全然詳しくない)という緻密な音の重ね方。そういった楽音的なことと同じぐらい、弦の軋み、胴鳴りといった、物体としてのチェロから鳴る音の発生、それ自体を意識下に置こうというこだわりを感じる音像。 Kali Malone & Stephen O'Malleyコンビのプロデュースによる音づくりと奏者のこだわりがかみ合っている、耳を澄ませて聴きたいタイプの作品。
アメリカのポストハードコア/オルタナティブロックバンド、1stフル。Man Aliveリリース。 厳密には新譜ではなく、97年にラフミックスまで出来上がっていたもののバンド解散に伴ってお蔵入りしていたマスターテープを、レーベルが発見、権利を買い取って完成させたもの。 驚いたのが洗練された楽曲。グランジを根底に置きつつ、FugaziやEmbraceのような初期ポストHCの切迫したエモーションを合流させ、中期Cave Inのように巧みに整理されている。 音質も素晴らしく、分離が良く、ヘヴィで、生々しい。いい意味で当時のグランジ勢の荒々しい雰囲気とは異なっている。当時メンバーだったエンジニアのBrian McTernanがミックスを手掛けているようだ。 厭世を巧みに伝えるvoも素晴らしい。歌声もいいのだが、シンプルで衝撃的な表現に満ちた作詞が卓越している。「When I saw my father cry for the first time, I knew that I was no longer glad to be alive(2."Unraveling")」「I'm over the calamity. I need to forget how I need you(4."Tales Of Never Letting Go")」など、「なんでそんな悲しいこと言うんだ」と言いたくなる名文句に溢れている。アメリカ的価値観への不信感に根付いた表現も多く、10."8/6/45"は広島原爆投下の正当性に疑問を投げかけるし、上掲2."Unravelingの一節も「旧価値観の象徴たる父のつらい姿」という意味では並べて語ってもいいかもしれない。 このバンドになんの思い入れがなくても、シーンの歴史に興味がなくても、ただいい音でいい曲を演っているという一点で聞くべきアルバム。
アメリカのハードコア/スクリーモバンド3rdフル。Zegema Beachリリース(CDは多分日本の3LAから)。 いわゆる激情ハードコア/リアルスクリーモ/skramzと呼ばれるようなカオスでメロディアスな演奏に絶叫voが乗るスタイル。本作はさらにマスコア要素も加わり、全身全霊の大暴走と怜悧さが同居する凄まじい作品になっている。 一方で、5."if at all"の後半をひりついたノイズ&叫びという不穏なパートで埋めたり、6."polar destinies"はアルバム最長尺の6分超で起伏のある展開を聞かせるなど、詰め込むばかりではない。 個人的な聞き所は2."and in the end, you threw it all away"のじっくりためてから電波なリフで疾走するラスト、0:13あたりからのConverge風ギターがかっこよすぎる6."cordiform projection"あたりか。 スクリーモ文脈のバンドだが、マスコアファンにもおすすめ。 なお、本バンドのbandcampプロフィールは「free Palestine」、作品インフォでは各種市民団体への支援を訴えるなど、本作の苛烈さは極めてポリティカルな怒りに基づいていることが想像に難くないことを補足したい。
phantombandgdl.bandcamp.comメキシコのスラッシュ/スピードメタルバンド2ndフル。High Rollerリリース。 鮮烈なデビュー作Handed to Execution(2023)の勢いそのままに多彩さが増した。Hallows Eveをアップデートしたようなパンキッシュ&ロックンロールな黎明期スラッシュを骨格に据えつつ、ジャーマンスラッシュ的ヤケクソスピードとスピードメタル的メロディをつぎ込むスタイルは前作そのままに、5."Nimbus"ではWarlordのような普通声のエピックメタル、10."Nazghul"ではブラックメタルと曲調に幅が出て、しかもそれが上手くハマっている。最終曲11."Dark Wings of Death"はアルバム全体を総括するような6分半の最長曲で出色の出来。 ここまでオールドスクールリバイバルな作風でありながら、ボーカルリバーブは程々に抑えるなどしており、「あえてB級」みたいな開き直りが一切ないのも地味に良い。
アメリカのストーナー/ドゥームメタルバンド3rdフル。Ripple Musicリリース。 初期Trouble+ストーナーとでも言うべきスタイルを基調としつつ、Grand Magusっぽい正統派メタル風スタイルからスラッジメタル、Gojira風のモダングルーヴまで曲調にいい意味での幅がある。 2."Eyehatesociety"のリフと胡散臭いvoのマリアージュ、4."Empires of Stone"の壮大なギターソロ、8."The Devil Lives in Texas"のドライヴィンなリフなど、熱いハイライトに事欠かない。 voもメタリックな仰々しいクリーン、ストーナーっぽい平坦歌唱、Mastodon風ダミ声、完全なグロウルまで上手く使いこなす。 Grand Magus、昔のSpiritual Beggars、Endtyme期Cathedralあたりのファンに特におすすめ。ドゥームメタル入門にも。
Tatsuya Yoshida & Martin Escalante - The Sound of Raspberry
アメリカのベテランドゥームメタルバンドの9thフルより。 HEAVY PSYCH SOUNDSリリース。 ストーナー、クラシックハードロックの色を強めたアルバムだが、この曲はCathedralにも通じるいかがわしいドゥームメタル。芝居がかった気味の悪いスローリフに、老成と溌剌を同時に感じさせる「ヤバいジジイ」かくあるべしなボーカルが乗る。
16 - Kick Out The Chair("Guides For The Misguided"収録)
アメリカの元祖ビートダウンハードコアバンドの1996年編集盤。Time Records等からリリース。 来日(仙台公演に行きました)の報を期に、ライブまでにビートダウンをちゃんと聴こうと思い購入。「元祖」ということで、現在のバンドと比べると若干ラフだったり、ビートダウンへの導線が若干不器用な曲も多かったりするのだが、むしろそれが逆説的に現代から見てなおオリジナリティになっている。タフガイの系譜を感じつつもヴァースのブレイクなどユニークな構成が面白い2."Hypocrite"、「Beatdown!」のシンガロングがアツすぎる5."Nothing But A Beatdown"など今なお色褪せない楽曲ばかり。 Brown Recordsリリースのトリビュート盤"Straight Up Beatdown"(2024)の現代的解釈と聴き比べるのも楽しい。
アメリカのインストロックデュオ2024年1stフル。Island Houseリリース。 アメリカーナっぽいフレーズを弾く(作品infoには" in a departure from their Americana roots"とあるのだが)のギターと、ジャズインプロっぽい手数の多いドラムによる即興演奏集。よく聞くとマスロックばりに複雑なコンビネーションをやっている部分もあったりと緻密なコミュニケーションによって成り立っているジャムなのだが、雄大さを感じるメロディが多いせいかかなりリラックスして聴ける。ドローンメタルのEarthあたりと共鳴する部分もある。汗ばむような熱気を感じるアナログ感ある音作りも良い。
V.A. - Spews Rot and Destroys Civility: A Finnish Noisecore Compendium