ウゴガベ

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2023年12月下旬~2024年2月中旬の日記

日記を滅茶苦茶サボっている。書くのが面倒くさいけど書かないことでアウトプットしていないわだかまりがあることも事実なので年数回くらいは書こうと思う。

年末年始

仕事納めの翌日から友人宅で合宿。Bluetoothスピーカーを各々が奪い合いながらメタルだのプログレだのを流し続けた。ジャックダニエルの数十年物と新品を飲み比べるというレクリエーションをやったのだが、普通に新品のほうがおいしくて驚いた。ナッツのような香ばしさがある。保存状態とかもあるんだろうが。
ひょんなことで手に入れた「万象学入門」なる占い系の書籍をせっかくなので勉強して、合宿参加者にやらせた。占い系は、大仰な手続きで何とも言えない結果が出てそれにやいのやいの言うという一連の流れが結局一番面白い。風野灯織さんもイルミネでワイワイとやっているに違いない。
喪中だったので帰省せず(どうせ一周忌で冬のうちに帰省するからというのもあるが)自宅での年越し。年末年始はほとんど帰省しているので、親元を離れ10年以上たつが自宅での年越しはまだ2,3回目だろう。紅白を見ながら以前旅行で買った日本酒などを飲む。良くも悪くも「ジャニーズがいない紅白」だったけど、個人的には「やれちゃうし、違った良さがある」という感想が一番強かったかも。ハイライトはゆずの二人とエキストラを見た瞬間夫婦二人ともが人民寺院を連想していたところと、YOASOBIのアイドル。
能登半島地震で311を思い出した。ビニールハウスに避難する人々が報道映像に映り、祖母が3月下旬にそれをやろうとして熱中症になりかけたのを思い出す。慢性的水分不足と晴天時のビニールハウスのサウナ化は怖い。我が家のビニールハウスはその後トイレになったはずだ(穴を掘って排泄して埋める)。

年始早々に見た嫌な番組の話。令和ロマンの人が現代的モラルに基づきつつも場の雰囲気を壊さない程度にしか対応できなかったのか、モラルとか抜きに「炎上が嫌だ」が本心だったのかはわからないが、どちらにしても一定の絶望がある。

ugogg.hatenablog.jp

有り余る時間を活かしていわゆる「年ベス記事」を書いた。昨年に引き続き「今年聞いてよかった旧譜」も書いている。金のなかった昔から、自分の音楽体験に占める「中古作品」の割合があまりに大きいので、一年の音楽体験を総括するならむしろ旧譜こそ外せないのだ。
ジャンルは偏っているけれど、メタル系の話題作、フォロワー経由で知る門外漢ジャンルの話題沸騰作、能動的ディグによる新発見のバランスがとれている内容だと思う。

 

天津飯

先日まで最も嫌いな中華料理が天津飯だった。私が今まで食べてきた天津飯は、なんか、ただのご飯の上にぶっ潰した味のしない卵焼きみたいなのが乗ってて、その上にかかっている餡はおいしいけれど卵焼きの表面ががっちりしすぎていて卵にもご飯にも餡が絡まず、「調味料、味のしないおかず、ご飯」が同時に口に入るだけの意味が分からないご飯だったのだけれども、先日妻が作ってくれた天津飯が全然別物で、なんか、ご飯の上にとろけるような半熟卵がヴェールのようにかかり、その上にかかっている餡と一緒にご飯を包み込んで最強のマリアージュと言った感じだった。
半熟の天津飯が存在するというのを、アラサーになって初めて知って、誇張抜きに人生が変わった気がした。

 

仕事

1月中旬の馬鹿デカ(当社比)プロジェクトの主管的ポジションだったのが心身ともに大きな負担だったのだが何とか無事終了。残業時間もかなり抑えられたが、そのせいでむしろ自宅で「とてつもない失敗をしてるのではないか」という不安にさいなまれPCを開くも、その「とてつもない失敗」に心当たりがないのでやることがなく痛む胃を押さえながらただ呆然とするだけという時間が増えたのはよくなかった。
これ↑を1月下旬に書いてしばらく経ったが、まためちゃくちゃ忙しくなってきた。この仕事はずっとこんな調子だ。

 

家電

ダイソン掃除機(fluffy v6だったか)のバッテリーが故障。これで3年ぶり2度目くらいか。保証期間も対象外になり、ネットでバッテリー交換の相場を見ると安物なら買えるくらいの金額だったのでこれに買い替えた。

www.toshiba-lifestyle.com

結果として問題なしというか、ダイソンより良い。最大の利点としてはものすごく軽く(全部込みで1kg。ダイソンfluffy v6は確か2kgちょい)て小さいことと、バッテリーを外して充電可能なために置き場の融通がきくこと。吸引力は圧倒的にダイソンなのだが、ダイソンだと「本体がデカくて届かない隅のホコリをパワーで無理やり吸引する」だったのがこれだと「小回りがきく本体&ヘッドで隅々まで届く」に変わるだけなので、結局吸引力の差は感じない。カーペットやラグの類を敷いていないのも大きいけど。あと小さいことだが見た目が地味なので異物感がない。ダイソンの色やばくないですか?ガンダムのMSVとかシードアストレイの攻めたデザインみたい。

 

ライブレポ

県内外のライブに3つ行った。

『CHIKAKARA 新年会 2024』〜anew × cana÷biss 2MAN LIVE〜 @山形ミュージック昭和Session

山形のアイドルanewと新潟のアイドルcana÷bissの2マン。各60minのロングセット。
anewは一回見たことがあるんだけど、その時よりだいぶかっこよかった。初めてみたときはメンバーの生誕祭イベントを兼ねていたらしく、良くも悪くもゆるいノリが印象的だったが、今回はそういった感じではなく、和気あいあいとしつつも〆るところはしっかり〆る感じで正直「こんなにおもしろいグループだったのか」と気付かされた感じ。かなり良かったので後日アルバム『異日常』を買った(普段行くのがバンドやノイズのライブばっかりなので物販にチェキとか写真とかしかなくて当日買えないことにビビった)。アルバムの出来も素晴らしく、骨太な4つ打ちと厭世的に開き直った歌詞が印象的なダンスチューン「ぼくたちに明日はない」、同じく山形出身であるRealことノリアキの「Debut」カバー、ケルティックなパーティソング「完敗乾杯」など聴きどころ多し。メンバー写真もなくサイケデリックなアートワークによる装丁もかっこいい。

ototoy.jp

cana÷bissは結成当初Twitterで「ユニット名がヤバすぎるアイドル」としてプチバズった記憶が薄っすらとあったのだが、今年度末での解散が決定しており、フェアウェルツアー的意味合いもあるということで、せっかくなので見に行ったという側面が強い。a crowd of rebellionやcinema staffのメンバーが楽曲提供しているということもあり、EDMと残響系とメタルコアがくっついたような激しめな曲が多く、間奏でグリッチするような複雑な楽曲を難なく踊りこなすところに感嘆。ごいちーというDJ兼任のメンバーがおり、入場SEは彼女のEDM系のDJプレイであり、オケも彼女が流し、パフォーマンス中は基本的にターンテーブル前でコーラスに徹し、ラスサビなどの一部パートでのみ前に出てくるのがユニークで面白かった。会場で音源を売っていたのでいくつか購入。ライブの印象通りの楽曲でなかなか良い。メタルコアっぽい楽曲は曲の激しさに対してライブのような激しさのない歌唱が浮いてしまっている感もあるが。初期楽曲については再録ベスト(ジャケットがゴールデンボンバーのパロディ)が出ているのでそれを抑えとけばいいっぽい。

ototoy.jp

 

曇りなのに眩しい#1 @仙台バードランド

上記ツーマン終了後車を飛ばして仙台へ。一日に2つのライブイベントに行ったのは初めてな気がする。
Not Niceはベースボーカルがノイズセットとドラムマシンもオペレートする、ワンマンパワーヴァイオレンス&ノイズ。2017年のフランスグラインドChiens来日ぶりに見た。当時はくぐもった爆音ノイズの向こう側で打ち込みドラムとベースノイズと絶叫が鳴っているようなスタイルだったが、今回はかなりバンドサウンドっぽいバランスで十数秒~数十秒のPV楽曲を連発しつつ、楽曲の隙間を戦場ドキュメンタリーからサンプリングしたような不穏なSEでつなぐことでオールドスクールなインダストリアルっぽい雰囲気も。面白かった。
EMPTY DRUGはロックンロールを基調としつつ「あの頃の邦ロック」感やOASISのノイジーな側面、微かなハードコア感を折衷した濁声voが乗るスタイル。ギターvoのルックス含めた徹底したセルフブランディングがバンドの雰囲気をまとめていていい感じ。
蒼子合奏はSSW蒼子氏の楽曲をバンド演奏でやるスタイルということらしい。元々が弾き語り楽曲ということだからなのか、かき鳴らすフォークソング的ギターと発生の癖を全面に押し出す楽曲にバンドアレンジを施した印象。ハイライトは中盤の、疾走感のあるフォークロックと極度にスローダウンして曲名をささやくサイケデリックなパートを行き来する前衛的な楽曲。多分「キスして離れる」という曲。
炎は福島・郡山で活動していたノイズロックバンドRedd Templeのメンバーによるノイズユニット。ガジェットシンセ&vo、モジュラーシンセ、ノイズギターの変則トリオ。ポストパンク/ジャンクロック的なリフと打ち込みドラムにモジュラーシンセとガジェットシンセの素っ頓狂な電子ノイズが絡み、その上をリバーブかけすぎで原型を留めないvoが乗る、どこかユーモラスなスタイル。Redd Templeもかなり説明の難しいノーウェーブ/ノイズロックだったけど、たしかにあの系譜を感じるサウンドだった。
Not Nice氏とはライブ後に少し話して「ノイズの極北としてHarsh Noise Wallが提示され終わったあとに求められる各々のノイズ実践」みたいな話もして、創作意欲も高まった。マジでありがとうございました。

 

KLASH OF THE TITANS(Kreator, In Flames) @EX THEATER ROPPONGI 2/2

KreatorとIn Flamesの2マンとなっては参加必須だろうと有給を取って遠征。音楽にハマった原体験の一つが中期In Flames、311後初めて聴いた音楽の一つがKreatorのHordes of Chaosということで、かなりルーツに近いバンドなのだ。
当日朝に東京入りし、昼にはKreatorのサイン会へ。かなり列の後ろだったがなんとか間に合い、最新作のHate Über Allesのジャケットにサインを貰った。フレデリックTwitterの投稿と変わらぬレベルで日本語ペラペラでびっくりした。その後ディスクユニオンで旧譜漁り。
六本木の会場はかなりおしゃれな感じで、ジャーマンスラッシュやメロデスには不釣り合いに思われたが、ゆったりしたフロアは前方は暴れやすく後ろは聴き入りやすくかなり良さげ。退場時の導線だけはどうかと思ったけど。
KreatorはFlag of Hate~最新作までバランスの良いセットリスト(ゴシック期除く)。初期も現在のスタイルも大好きなので最高。特に驚いたのがTerrible Certainty,Extreme Aggression ,ヴェンターのドラムvo&全員コーラスによるRiot of Violenceと言ったレア曲。素朴でクドくてアツいMCも相まって大盛りあがり。ほぼ全て観客のシンガロングが起こるタイプの楽曲なこともあり、この時点で喉がほぼ枯れてしまった。フロアの真ん中あたりで見ていたのだが、目の前のモッシュピットがあまりに羨ましくなり転換時に前方へ移動。
In Flamesも同じく新旧織り交ぜたセットリスト……なのだがFood For The Gods, Ordinary Story, Aliasなど、新旧ともにレア楽曲てんこ盛りのサプライズ。特にAliasは後期In Flamesのエモ的側面の極地と認識しているので本当に嬉しかった。あまりに感激して絶句してしまい曲名コールに歓声で応えることすら出来なかった(KreatorのTerrible Certaintyもだけど)。観るのは2012年ラウドパーク以来だが、メンバー交代やアンダースの歌唱力向上もあり、当時と比べ物にならないくらい演奏も巧みな印象。当時のアンダースならLike Sandのような曲をライブで歌うのは不可能だったのではないか。それでいてBehind Space,Food For The Godsのような初期メロデスの泥臭いパフォーマンスが入り混じっても何故か馴染んでしまう職人技。MCも以前の冷笑的なノリよりももうちょっとシニカルではあるが愛嬌のある内容で楽しかった。最前の観客のスマホを奪って動画を取りまくる一幕も。
夢のような一日だった。翌日は国立新美術館に浸ろうと思ったのだが……後述の事情で早々に切り上げて別のアートギャラリーに立ち寄ったあとディスクユニオンの別店舗を巡って同じく旧譜漁り。夕方の新幹線で帰った。

 

美術館

ライブの遠征ついでに住所と開館時間以外一切調べずに国立新美術館に立ち寄ったのだが、全然、マジで、死ぬほど、一切ハマらなかった。
行ったタイミングが悪すぎたのもあるのだが、目玉の企画展がなかったことが一番残念だった。この日あったのは、小企画として入り口広場にあったこれだけ。こういうコンセプチュアルなアートが館内に点在しているのかなと思ったらこの一点のみ。

www.nact.jp

ほか開催中の企画はすべて公募展。そして、当時やっていた公募展は「第5回 和紙ちぎり絵創作展」「国際公募展 美は国境を越えて」「第12回 シャドーボックス展」「第40回記念 産経国際書展 新春展」「第46回 國際書画展」「第36回 平泉展 ~楽しい手作り~」。色々覗いたりして思ったのが「愛国心の強い展示が多くてちょっとヤダな」「日本文化って良いよね系、書道系、手法そのものがコンセプト系と、どんな視点でソートしてもコンセプトが被りまくっているな」ということ。個人的な左翼思想の都合でそういうナショナリズムっぽい展示がハマらないのは仕方ないというかこっちが悪いにしても、いくらなんでも近い雰囲気の展示が多すぎる。公募するならもっと色々バラけさせたらどうだ。ちなみに名前だけではなんとも言えない「平泉展」も「龍の御霊、チャクラ、レイキ、日本道徳LOVE」な作品が多くを占める、ニューエイジ&ソフト右翼っぽい感じであった。
あと売店が好かない。最近の公募展・企画展関連の図録もろくに無く、全国各地のアイデア雑貨と"日本っぽい"グッズを寄せ集めた、インバウンド特化の土産屋状態。地方発のグッズも、この美術館ならではの切り口はあまり感じられずただ並べてる感がすごい。少し置かれているオリジナルグッズも「"あの"東京の"あの"施設のグッズです」と主張したいだけにしか見えない空虚さでダサすぎる。後で公式HPを見たらこのショップのコンセプト自体が「世界中から様々な人やモノが集まる東京」の体現らしく、ついつい東京への罵詈雑言が飛び出そうになった。美術館自体もコレクションを持っていないということで、全体として貸展示室的と言うか、単に「ヨソのいいもんを置く場所」としての機能を展示室も売店も全うしているということなんだろう。普通に東京の雑貨店としてはかなりアリだと思うけど、美術館としては完全にナシ。
ただ今回こういう目にあったのは自分のためになったと思っていて、価値観の解体を伴わない作品や、直感と理解の距離が近い作品に自分は全く興味がないということがわかったのは大きな収穫だった。美術関連の学問を全く修めていないのもあるが、どうやら私の鑑賞態度は「パンピーの俺に未知の衝撃を与えてくれ!もしくは根付いた固定観念をぶっ壊してくれ!」という願いを作品にぶつけてレスを待つというスタイルらしいということがわかった。そして、私は「なぜこれを良いと思った/思えなかったのだろう?」と内省する時間のある作品もどうやら好きらしい。なんというか、上手い字とか、でっかいドラゴンの絵とか、普通に良いものを見ても「良い」以外のことが考えられず無為な気分になってしまう。特に愛国的・右翼的なものって直感で言ってしまえば良くて当然なのだ。今あるものを肯定する思想と直結した芸術がもつ機能は、既存の美的感覚を喚起することなのだから。そういうものに日常で触れながら生きることは平穏な暮らしを送るために意義があると思うし、音楽のような自分が日常的に好んで触れる分野の芸術はむしろ能動的に内在化した価値観に基づいて摂取することのほうが多いけど、せっかく美術館に行くのであればそういう思想的平穏をぶっ壊してほしい。こんな俺たちに好都合なモノ、わざわざ見なくて良いです。
その後たまたま見つけたギャラリー「新宿眼科画廊」に行った。人生初ギャラリー。かざりさんという人が在廊していたが何も知らないで来たので特に話すこともなく簡単に挨拶した。後日検索したら結構なインフルエンサーでビビった。タニグチカナコさんという人の日本画&ムチムチ手指と言った風情の絵が面白くて、自分の日本画観とのすり合わせを強制させられている感じが楽しかった。