ウゴガベ

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2023年10月第2週~第4週の日記+簡易新譜レビューいっぱい

あったこと

仕事は……なんか全然手につかなかったな。来週末旅行なのと閑散期なので意欲が下がっている。
いや、閑散期は嘘だ。今やれば将来死なずに済む仕事から目をそらしているだけのはずだ。でもやりたくないものは仕方がない。

朝食を食べるようにした。なんとなく体の調子が良くなった気がするが、上述の通り仕事に身が入っていないので生産性が上がったかどうかはわからない。
前の日記に書き忘れたんだけど、あすけんのプレミアム会員も始めた。今までの管理がいかにずさんだったかを確認するとともに、ビビって過剰な食事制限期間を設けて却って反動がデカくなるということが無くなった。カロリーがちょっと超過する場合はその分エアロバイクを漕ぐことで調整している。今のところ、3週間で-1.5kgくらい。継続したいものだ。

通帳を見てここ1年の金遣いの荒さに絶句。仕事が21:30に終わって100km運転して直帰、みたいな日が続くと深夜営業のファミレスでメチャクチャな量食べがちなのが地味に大きな出費なのではないかと見ている。
本当は中古CDの購入とかライフスタイルの安易な変化が一番大きいとは思うんだけど。
そのショックと今後の出費を考えて、11月代官山UNITで開催のleave them all behind参加を断念。Eyehategod見たかったな~。

妻は色々な知識に興味を持ち、その分野の教養を身につけて視野を広げようと行動する姿勢と能力を持っている。それと同時に怠惰に享楽的にテキトーに生きる楽しみも知っていて、そのバランスの中に生きようとする姿勢が豊かだと思い感銘を受けることがある。この期間は特にその感覚が強かった。

 

ライブ

人生初のアイドルライブに行ってきた。

anewというグループのメンバー生誕祭を兼ねた企画ということらしい。下記出番順の感想。
IxBxH…山形は米沢のビートダウンハードコアバンドVanishment This Worldのメンバーと東京のブレイクコアアイドル・ネムレスらによるハードコアバンド。このイベントを知ったのはこのバンドのgt.井上氏から。ゴリゴリのハードコアパンクに怒号、絶叫、女性アイドルのトリプルボーカルが乗るサウンドがにぎやかで楽しい。バンド名は芋煮 Burning in Hellの略だったような気がする。
U≠may…「ウンメイ」と読むらしい新潟の二人組。口上、振り付け、オタクのサイリウム芸など、最もイメージに近い地下アイドルをやっていた。シャニマス以外のアイドルをほとんど知らなかったのでアレなんだけど、実際のアイドルはノクチルっぽい曲もイルミネっぽい曲もストレイっぽい曲もやるのだなあと思った。
CHICKEN BLOW THE IDOL…山形出身メンバー1名を含む東京の四人組。「臆病で弱虫な女の子の一撃」みたいなのがコンセプトらしく、BUMP OF CHICKENと被っているなあと思った。楽曲は激情ハードコア、残響系、メロコアなどの曲調をアイドルソングらしくアレンジした感じで好みに合う。パフォーマンスは激情的で荒々しいけどコンセプトに通じるイノセンスを阻害しない絶妙な程度で、BiSHのような下品さを開き直って内包したタイプの荒々しさともまた違う雰囲気。実際に歌い踊ると写真より圧倒的に可愛くかっこよく、今回のライブで一番の収穫だったユニット。音源も買っちゃった。翌日同会場でワンマンライブをやったらしいのだが都合で行けず残念。個人的に一番ツボだったのが山形出身メンバーのマヨイさん。ノクチルの小糸ちゃん的雰囲気(身長順的にも)なんだけど、凛と張った高めの声で他メンバーの低く力強い声とバランスを取っていた。あと可愛い。

ネムレス…知る人ぞ知るブレイクコア/ハードコアテクノ系ソロアイドル。常軌を逸した音圧とBPMでフロアを圧倒していた。関西出身ということで立て板に水のMCも凄い。「私の曲知らなくても大丈夫です、次の曲BPM1000でどうせ誰も乗れないので」みたいなことをいってノイズの洪水みたいなブレイクコアチューンをやってたシーンが最高すぎて爆笑しながら酒を一気飲みしてしまった。それはそれとして初見でもできる振り付けの曲もやったりと、エグさと親しみやすさが両立した不思議なステージで楽しかった。
anew…今回のメインアクト&主催である山形の4人組。楽曲はラウドかつメロディアスなものが多くてライブハウスにも合う曲調な反面、パフォーマンス以外の場面では仲良し感があって緩い独特の空気感が面白い。アンコールではメンバーのあまねさんのちょっとしたソロパフォーマンス。いい意味でめちゃくちゃ弛緩した雰囲気だった。ローカルでも活発に活動はしているが、台湾公演を成功させたりすでに活動の幅はだいぶ広いらしい。
総合的にはめちゃくちゃ楽しかった。激しい曲調多め、ローカルなライブハウスでのイベントということで、いつも行くようなライブに近い部分もあったからか疎外感もなかったし。それでいて、声優ライブにもたまにいるというサイリウムを配る謎の人がいたり、ファンによって形成される異様に複雑なコール&レスポンス文化に絶句したりという界隈ならではの経験もできたし。
ローカルなイベントというのもあってアイドルとの距離が近いのには結構マジでドギマギしてしまった。ライブハウスあるあるの「観客の何割かは出演者」は今回も同じだったんだけど、出番の終わったチキブロやネムレスの隣でanewを見たりとか、ハードコアでよくある演奏中にメンバーがフロアに降りてくるやつをanewもやってたりとか。地下アイドルガチ恋勢に対してはかなり冷笑的に見ていた部分もあったけれど認識を改めた。
あと何より思ったのは、必ずしも全ユニットが好みの音楽性やルックスではなかったけど、ライトを浴びて歌い踊るアイドルという存在自体がなぜかわからないけれど凄まじく魅力的に見えるというのを実感した。風野灯織さんのSTEP編が初めて理解できたかもしれない。よく言えばアイドル業自体の凄さを感じたし、逆に言えばそういう「なんかいい感じ」を意図的に演出できるのであれば、本分であるはずの音楽グループやダンスグループとしての質は度外視することも可能なんだろうなという邪推もしてしまった。
なんか最後に感じ悪いことも書いてしまったけど、本当にいいイベントだった。特にチキブロはまた東北に来たら見に行きたい。

音楽

gridlink.bandcamp.com

Jonh Chang(Ex.Discordance Axis, NOKWTDT)、マツバラタカフミ(ex.Mortalized他)等によるグラインドコア・スーパーバンド9年ぶりの新譜。
ジャパコア系とも激情系とも歌謡曲風とも取れぬ個性的な泣きメロディを前面に出すマツバラの高速ギターとJohnの絶叫が交錯するという彼ら流のメロディアスなグラインドコアは更に磨きがかかった。旧作も凄まじいメロディの洪水だったけど、今作はそのメロディが悲しさ、儚さの方向に超強化。それでいて攻撃力は一切低下していない。
控えめに言っても彼らの最高傑作、ひょっとすると年間ベスト級という快作。20分しかないが情報量はLPいっぱい相当。

Desolate Sphere - Maledictus

desolatesphere.bandcamp.com

日本のメロディックデスメタルバンドの新作EP。初期メロデスっぽい激しさ、ブラストビート多用、クリーンボイス無しで高低のデスボイスを使い分けるvo、暗いメロディと刻みリフで攻めまくるギターと、清々しいくらいのThe Black Dahlia Murderリスペクトな音楽性。曲の質も高いし、voのマッチ具合(特に喚きの高音)も良い。おすすめ。

Cannibal Corpse - Chaos Horrific

cannibalcorpse.bandcamp.com

世界一有名なデスメタルバンド新譜。Erik Rutan加入後2作目ということで、前作に引き続き直線的な印象と複雑な構成、うねるフレーズ、Erikの隠し味的キモメロディセンスが融合した路線。前作のほうがよりストレートな切れ味があって好きだったけど今作も良い。3,4曲目がそれぞれ違った形で「今のCannibal Corpseのグルーヴ感覚」を表現していて面白い。

Cryptopsy - As Gomorrah Burns

cryptopsyofficial.bandcamp.com

フルアルバムとしては11年ぶりとなる新譜。セルフタイトルの前作と大きく変わったところでいうと「voのゴボゴボ度が減り歌詞を聞き取りやすくなった」「曲展開が若干シンプルでテクデスらしくないフレーズが増えた」というところか。特に前者に関してはかなり不満で、前作のピッグスクイール一歩手前の声が好きだったので、端的に言うとvoはショボくなったように感じられてしまう。後者については聴くときの気分でだいぶ変わるというのが正直なところで、キャッチーなリフレインパートを速すぎない速度で聞かせるパートが増え、各曲の印象度は増した反面、聴き通した後に「思ってたよりヌルかった気が……?」と感じる時も。これまでの「常軌を逸したジャジーなテクデス」ではなく「暴力的すぎるジャジープログレデス」の文脈で捉えたほうが楽しめるかも。期待を裏切られた点でついつい評価を下げてしまうが作品単体としてはヘビロテ。

Blindness - Everything Has A Life Has An End

esagoya.bandcamp.com

イタリアのグラインドコアバンド新譜1st。曲構成はシンプルでモダンなグラインドコアで音作りも今風のクラストコア/グラインドコア系なんだけど、リフがめちゃくちゃメロデスっぽいところが唯一無二の個性。メロデスというか、4th以降のAt The Gates。高すぎない喚きvoも相まって、正直At The GatesのAt War With Realityあたりと並べて語ることもできるくらいオーバーグラウンドな音をしている。これがもし売れないとしたら理由は「メタルファンに届いていない」「炎属性の太ったおばちゃんがハンズアップでメンチを切っているジャケがダサすぎる」しかない。おすすめ。

The Art of Mankind - Chaosbringers

www.youtube.com

日本のメロデスバンド4年ぶりの新譜。上述のDesolate Sphere並に速くクリーンvoも無いが、こちらはもうギターが泣いて泣いて泣きまくる、悲劇的メロディが絶え間なく鳴りまくるクサメロ型メロデス。メロディの方向性的にちょっとネオクラメタルっぽさもある(上掲MVのシンセなんか特に)のが面白い。密度が高すぎてお腹いっぱいにはなるけど一曲一曲のレベルは高い。

Heterogeneous Andead - Chaotic Fragments

www.youtube.com

日本のメロデス/シンフォニックメタルバンド2022年2nd。”Andead”はタイポではない。ギターはスラッシュメタル系の高速の刻みリフ、キーボートはトランス系とオーケストレーション、エレピを併用、女性voは超低音のグロウルとソプラノを使い分ける……というかなりハイブリッドなスタイルなのだが、肝心のvoが歌唱力なのか録音環境なのか、めちゃくちゃショボい。特にグロウルは、マイクに精一杯口を近づけ、唇をすぼめて収録しているさまが浮かんでしまうほど。ソプラノの方はミックスが下手なだけかもしれないが。キーボードもオーケストレーション系以外は使わなきゃ良いのにと思うことのほうが多い。ギターリフは大抵ソリッドでかっこいいので、このギタリスト中心のデスラッシュバンドが聴きたい。

Galundo Tenvulance - Lunar Eclipture

spiritualbeast.bandcamp.com

日本のメロデスバンド新譜1st。シンフォニックなシンセアレンジが全曲に施されめちゃくちゃ豪華。印象としてはMors Principium EstとかDimmu Borgirとかの影響下にあるのかなという気がしないでもない。個人的にシンフォニックなメタルが好きじゃないので正当な評価が下しづらいけど、きらびやかにメロデスしつつ時折デスコアっぽいアレンジを織り交ぜるスタイルはデスコアが新しいジャンルではなくなったからこそのスタイルという感じで面白い。voも器用なもの咆哮一辺倒かと思ったら2曲めで早速デスコア系の声を披露してガッチリハマってる。7.Reminiscence of VanityはIn Flames風のスローな三連符ケルティックメロデスにキラキラしたシンフォニックアレンジを違和感なく施していて良い。

High Cost - What's Living Worth?

esagoya.bandcamp.com

ニューヨークのハードコア/パワーヴァイオレンスバンドの2021年EP。所持しているのはボーナストラック(ラモーンズPet Semetaryのカバー)追加で2023年に初CD化されたもの。元々のアートワーク「レトロゲーのボスキャラ・蛾蝙蝠」って感じのクソキモいものだったが再発の際にリンク先にある裁縫バッグのドラゴンみたいな超かっこいいものに差し替えられている。
音楽性は、モッシュ必至のファストパート、ライブ映えしそうなビートダウン、グラインドコア的なブラストビート、が性急に切り替わるパワーヴァイオレンス。パンキッシュも不協和音も暗いメロディもノイジーもなんでもござれのギターと血管ブチギレヒステリック女性voがかっこいい。5.Isolationみたいなメロディアスな曲もメロウにならず暗くて暴力的でバッチリ。ひりついた緊張感とパンキッシュな衝動が同居する作品でおすすめ。

Catastrophe Ballet - Narcis

catastropheballet.bandcamp.com

今月結成されたばかりの日本のバンドの1stデモ音源。バンド名をChristian Deathのアルバムタイトルから引用していることからも分かる通りゴスパンク/ポストパンク的な雰囲気をまといつつも、メロディアスなギターやネットリメロディを歌うvoの主張が強く、90年代の初期Visual系らしさも凄く強いところがかなり個性的。全体的に陰鬱な印象だけど上述の特徴があるせいで海外ポストパンクバンドの乾いた感じはなく、常にじとじとした情緒がつきまとう。特に必殺のイントロを始めずっとキラーフレーズしか出てこない1.NARCISは必聴。昔の少女漫画っぽいアートワークも完璧。