ウゴガベ

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2023年9月第3週~第4週の日記

あったこと

仕事が忙しすぎて心身がガンガンやられた。労働時間はそんなに多くないけれど、むしろ「経費節減」「働き方改革」の名目で短時間/短期間で滅茶苦茶なスケジュールを組まざるを得ないケースが増えている。長時間労働はあまり苦でないタイプだけどこれはあまりにもメンタルに悪い。

広島

出張にかこつけて広島市内を旅行した。


本場の広島お好み焼き初めて食べたけど、ソバが邪魔な割に満腹感ばかり尋常でないので、あまり好みじゃなかった。がんすはどこで食べてもかなり美味しかったな。「みよし」という居酒屋で食べた煮込みがメチャクチャに美味かった。トロトロに煮込まれているのも良かったけど、山椒か何かがかかっているのが面白い。


東北育ちなのもあって路面電車を見るたびにテンションが上ってしまう。

原爆ドームはじめとした被爆建造物を色々見たのだが、特に面白かったのは私的に保護活動をしている人がいるらしい被爆消防ポンプ。一切観光要素がなく行政による碑などもないのが、却って追悼の念の強さを感じさせる。路面電車猿猴橋町駅近くにある。

広島市にあるハードコア/パンク系レコードショップMISERYにも訪問。メタルファッションの自分は明らかに場違いだったけど、オーナーのお二人と常連客らしい方に暖かく迎えていただいた。Heresyの再発音源集を買ったら「うちにこの在庫まだあったの!?」と驚かれるとともにデッドストック発掘記念としてちょっとしたお土産まで頂いてしまった。ありがたいねェ。名前も聞いたことがないローカルバンドの音源が揃うかと思えばNWWのシリアル入り再発などのレア盤(買いました)も隠れているなど楽しいお店だった。広島行く人は是非。

旅行や出張の際には、必ずローカルのスーパーに行くことにしている。地域の特色が必ず現れているから。あとうまかっちゃんが地元価格で買えるから。

お好み焼き用にソースを抜いてある焼きそば、ゼリーにしか見えないが「水ようかん」とされているなにか。

ほか、平和公園周辺と、広島市現代美術館に行った。原爆ドーム初めて見たけどあれがまちなかに立っている違和感も含めてめちゃくちゃ怖かった。

広島市現代美術館
現代アートどころかアートに全く馴染みがない人間なんだけどかなり楽しかった。現代美術館は確か小学校高学年か中学生の時に行ったんだけど、当時の貧しい感受性と感動を小馬鹿にしがちなコミュニティで育まれた精神性では「意味不明」「なんか小難しいことやってカマしてらw」としか思えなかった記憶がある。今でも正直よくわかんない。
「コレクション展」と「アルフレド・ジャー展」の二本立て。広島ゆかりの展示も多いのが独自性あってよかった。原爆関連作品の他にも、美術館自体のリニューアル関連展示や街にある看板等の取材録、「村上友重+黒田大スケ」のコーナーも地域の自然とローカルネタをモチーフにしていて、会話劇の上映もあったりしてポップ。
「コレクション展」で撮影可能だったのは下の「untitled-koinobori-(平野薫 2017)」のみ。鯉のぼりのエラから後ろを、横糸のみほぐしたもの。ほぐしたことで鯉のぼりの機能を完全に失っているのだが、ほぐした糸がシンメトリーに垂らされることで仁王立ちの雄々しさを獲得すると同時に、鯉型を保つ縦糸が室内の気流で少しなびくとまるで魚が泳いでいるようでむしろ鯉らしくなっているという、新規性と原点回帰の2面の魅力を獲得しているのが面白い。

他に面白かったやつをパンフレットとうろ覚えを元に列挙してみる。
The Man(草間彌生 1963) - 男根状の突起がめちゃくちゃ生えてる150cmくらいの壁。ちょうど股間に当たる部位の突起にはヤカンがかけられている。男性性の象徴に"お茶くみ"を担わせる、一種の宣言というか、攻撃なのかな。
Splash and Flake(Pipeline #3)(金氏徹平 2009) -  木の先端や木と木の間にプラ製のカラフルな配管継手や蛇口等がついたオブジェ。見た目が可愛いのも良いんだけど、水道っぽいものがつけられるだけで木々の内側に空洞をイメージしてしまうのが面白い。
DOME(若林奮 1988) - 3mを超える鉄製のオブジェ。何かの炉のようにも、被爆建造物のようにも見える物々しさがある。対になる水鏡(〃 1997)がDOMEの影のように設置され、ポンペイや広島に残ったといいう人の形の影のイメージと重なる。
CALM(堂本右美 2002) - きれいな靄の中にぶっとい実線でなんか……クワの先端?みたいなものが描かれている変な絵。もうその違和感が素直に面白かった。TV版エヴァ使徒に近いイメージも抱いた。

「アルフレド・ジャー展」は私でも知っている「100のグエン」はじめとした代表作数点と本展示のための広島を題材にした新作数点。

大半は写真OKだったんだけど没入してほとんど撮り忘れた。左から、
われらの狂気を生き延びる道を教えよ(1995-2023) - 大江健三郎の文章をネオンサインに。一見ただ単にめちゃくちゃかっこいいのだが、Usが小さく、Madnessが大きくなり、「生き延びる」を赤字にするレイアウトに切実さを読み取れる気もする。
100のグエン(1994) - 有名なアレ。手を変え品を変え展示されるたった4枚の写真の圧力がすごい。
シャドウズ(2014) - 殺人事件の報道写真をもとにした展示。家族の死を悲しむ二人をシルエットだけにして滅茶苦茶眩しく発光させる(マジで目がやられるかというくらい眩しい)ことで強制的に目に焼き付ける。
撮影していない作品でいうと、特にびっくりしたのは「ヒロシマヒロシマ(2023)」。現代でも起こりうる核兵器投下の恐怖を、ドローン空撮による原爆視点と現在の町並みの映像を組み合わせて体験させるのだが、街を破壊する爆風を強制的に体験させる演出が強烈。
あとは「音楽(私の知るすべてを、私は息子が生まれた日に学んだ)(2013-14/2020-23)」が唯一の優しい作品として印象的。中庭にスピーカーと電波時計が置かれ、制作期間中に市内で生まれた赤子の産声が出生時間と同じタイミングで聞こえるというインスタレーション。今まで「我々の知らざるところで無数の無辜の民が殺された」という事実を突きつける展示が続く中で、唯一誕生の祝福をテーマとしている。
サウンド・オブ・サイレンス(2006)」は写真家ケビン・カーターと彼が撮影してピュリッツァー賞を獲った写真(ハゲタカと少女のやつ)に関する展示。悲しげな詩、という感じの展示なんだけど最後にいきなり観客に暴力を振るってくる。ジャーの作品は結構体験型と言うか、報道写真の持つ暴力性に鑑賞者を巻き込んだり、メッセージを肉体的に直接味わわせたりと、受け手を強制的に主体者側に巻き込んで来るギミックにあふれている感じがした。

正しい読み取り方ができているのかは一切分からないが、分からなさの中で自分なりに読み解く体験が面白かったのでヨシ!東北の美術館にも少し足を運んでみようかな。
後悔したのは筆記用具持っていかなかったこと。もっとちゃんと感想書き留めたかったな。いまパンフレット見ても「これなんだっけ……?」っていうのがそこそこある。だいたい、作品名が分かりづらいんだよな。

 

ニチアサ

プリキュアの映画を見た。20周年記念ということで昔のプリキュアがいっぱい出てきて豪華すぎる絵面はにわかファンにとっては何がなんだか。物語としては世界改変できるタイプの上位存在に立ち向かうお話。敵以外とことん良いやつしか出てこないのでその真っ直ぐさに泣けてしまう。敵の"改心"にも納得感と爽やかさがある。全作のデパプリと今作のひろプリは見ているので、この2作品キャラの越境がいっぱい描かれるのは嬉しかった。あまね先輩がいいキャラしてました。
プリキュアの映画ってなんか「映画を見てるみんなもライトを振って!」みたいなシーンが有るイメージが合ったけど、今作は明確なそういうフリは無し。ただ振るのを推奨しているシーンはあった。
つい先日まで無料公開されていた15周年映画のほうは、逆にすごい開き直りかたをしていた。プリキュアを幼児化する敵が出てきて、元に戻るには成長してからの思い出が必要なのだがついに全員が幼児化させられてしまい……という絶体絶命の流れで、マスコットキャラクターが「あっ、せや(関西弁キャラなのだ)!この映画を見てる君らがおるやないか!みんな!プリキュアの思い出をあらん限りの声で叫びライトを振ってくれ!!!みんなの記憶をプリキュアに分けてくれ!!!」みたいなことを画面越しに呼びかけてくるのだ。爆笑と感動が一気に押し寄せる名・迷シーンである。

キングオージャーは相変わらず重厚なシリアスに潤滑油としてのユーモアがちょうどよくとても面白い。仮面ライダーガッチャードはかなり軽薄なんだけど、逆に戦隊とのバランスが取れている気がする。

音楽

新譜。近年の路線をメロディアス方面に推し進め、良くも悪くもカオスさを感じられないくらいにバンドサウンドになじませた作品ですごいです。

2003年作。インストのダブテクノ&レゲエという感じのサウンドのエグい重低音が気持ち良すぎ(重低音は普段遣いのPCスピーカーでは全然わからないくらいのロウっぷりだけど)。