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2022年12月第3週の日記+簡易新旧譜レビュー

毎日書いてるわけじゃないのでいままでタイトルに「週報」ってしてたけど別に報じゃねえな?と思ったので「日記」にします。週間でも日記!

あったこと

雪だ!!!最悪だぜ!!!雪かきと雪おろしの日々が始まる。

仕事関係の忘年会が相次ぎ結構疲れた。わざわざお店予約取って集金だの割り勘だの経費支出だのせずに各々で変な薬とか飲んで忘年したほうが良いと思う。

コロナ後遺症治んね~~~。多少軽くなったが、未だにちょっとしたきっかけで咳が止まらなくなり会話もままならない。

なんかむしゃくしゃしてamazonウィッシュリストに入っている新譜数枚と旧譜数十枚を買った。仕方がないね。日照時間の短い季節はこういう爆発的な行為で少しでも光を確保すべきだ。

日曜日に髪を切った。冬に髪を短くすると寒風が単発をすり抜けて頭皮に当たり、頭部の感覚がきんと引き締まるのが好きだ。冬は散髪が熱い(冷たい)!

原作小池一夫・作画小島剛夕『首斬り朝』の大合本版がkindleにあったので買ったが面白い。江戸時代に実在した御様御用人・三代目山田朝右衛門を題材にした時代劇画。といいつつも浅右衛門が舞台装置でしか無い回も多く、罪人が首を斬られるまでの顛末を描いた回が多い。心神喪失、盲人、女性差別といった現代にも通じるテーマも多く扱われ、重苦しくも読みごたえがある。
朝右衛門やその弟子・傘次郎に主軸が置かれた回(餅つきの回とかぺんぺん草の回とか)は人情ものっぽくてこれもよし。
ただ画質があまり良くないのと、全4巻のうち何故か3巻までしか購入できないのが欠点。

M-1決勝をみた。とにかくさや香が面白かったので優勝しなくてちょっと残念。あんなん……もう……60分ぶっ続けて聞かせてくれ……。多分20分くらいで笑い過ぎで失神するけど。
ロングコートダディ1本目の「マラソンをネタとして成立させる巧みさ」「奥行きを利用した演出」みたいな作り手から見た技巧が評価されたり、ウエストランド優勝時に「毒舌漫才を背負ってほしい」的な業界感が出ていたりなど、「楽曲のコメント欄見たらエフェクターセッティングの話ばかり盛り上がっている」みたいな疎外感があり、まあ私は100%の受け手だもんな……と寂しがりつつも納得した。
毒舌とか偏見による笑い自体は好きな方(カスなので)なんだけど、ウエストランドのネタはどっかで見聞きしたか大昔の自分が思っていたことが妙に多くて、共感というより「あ、それはもう終わったんでいいです」という気持ちになってしまった。クリアしたゲームのネタバレを延々と見ているような感じで。社会の影やそれぞれの内心では言い尽くされていることであっても、それを堂々とあの場所まで持ってきてぶちまけた胆力が共感にバフをかけて面白くなるのかな。だとしたら私は「〇〇(任意の権威や公共性がある場所)でやるというヤバさ」みたいなものの価値を認識する能力が低いってことなのかもしれない。

外回りの際にかなりいい廃線跡タイプ遊歩道を見つけてご満悦であった。仕事じゃなければ一歩一歩踏みしめるように歩きたかった。東北のおすすめ廃線跡山形県高畠町の旧高畠線・新高畠駅―旧高畠駅間をサイクリングロードに整備した「まほろばの緑道」です。石造り(町内に石切り場があった)の旧高畠駅舎が残存していたり、時折「これ絶対駅のホームだったろ」みたいな遺構が出てきたり、単純に景色が良かったりして、運行ルートを追体験できる。

www.hotetu.net

 

思ったこと

なるほどなあと思った話。4部は「町ぐるみで吉良吉影を追い詰める話」のように読み取れる部分が大きい(メインバトルは早人vs吉影と仗助vs吉影だけど、最終盤は多くのキャラクターのたった一手ずつの貢献がなければ勝てなかったしトドメはあれだし霊になってからもあそこであれするし)んだけど、この考え方だと辻彩も貢献したと考えることもできる。偶然の可能性もあるけど、荒木飛呂彦はいろんな要素をとっかえひっかえする割に世界の摂理と人物の信念に対して異様に誠実なのであながち的外れでもない気がするなー。

 

音楽

当時は友達に聴かされてなんか軟弱になってるしリフ聞こえなくてドラムしか聞こえないしキモッ……と思ってスルーしてたけど今聴くとかなりの佳作。

なんか好きな人には有名らしいですね。ラ・マルセイエーズとかも怒号と喋りだけになっていて笑うけどフルで聴き通すのはちょっと疲れる。

リリックはそんなに響かなかったけどトラックとラップの感じがマジで良いです。これも日本語ラップの中では有名な作品っぽい。

2022年作。案外過去作に苦手意識ある人にハマることもあるかもしれない(声が無理な人にはもう無理だけど)。正直Vespertine以降はVolta除きそこまでグッと来なかったんだけど本作はかなり良いです。

B!誌で「Reign in Blood以来の衝撃」とも言われたという2022年作。先に「マジの名盤です」というのだけ言っときます。
で、このアルバムが世間的にすごくオルタナティヴな扱いになっているのが納得いかない。むしろグラインドコアはハードコア正当後継/デスメタルとの融合/実験音楽の主に3形態が並行ときに交差しながらそれぞれ発展してきた音楽であり、その実験音楽線のルートにしっかり車輪が乗っている作品と感じる。
スピリチュアルな感じのクリーンボイス導入は近年のNapalm Death(以下NxDx)が確率させた。スラッジ/SWANS系ポストパンク要素の導入もNxDxが80年代にやってること。メロディアスなリフをベースレス編成で強調する変則的なグラインドコアを作るのはDiscordance Axisあたりがパイオニアだろうし、そのギターの質感をエモ+歌謡曲みたいに発展させる実験はMortalizedやSwarrrmといった日本のグラインドが最大手。ノイズの導入はBrutal Truth、Pig Destroyer、Antigama、ハーシュ寄りで言えばFull of Hellなど枚挙にいとまがない。
斬新さでいうとヴァイオリンの活用。これまでシンセやギター、サンプリングノイズ等で鳴らされていた音に違う表情を与えていて面白い。最後の曲みたいに純粋にリード楽器として使われるのもアルバムの締めとして特に美しく響く。ただし19.Weeping Pillowみたいなフリーキーな使われ方はNxDxがJohn Zornとの共演で先取りしている。
フーッ、フーッ……。明らかにグラインドコアのパブリックイメージが初期NxDxに偏重していることへの苛立ちが混ざった文章になったな……。本作はWormrotがグラインドコアの歴史の総括者にして正統後継者であることを示す傑作であって、開拓をなした作品ではないんだけど、どうも上段の要素を踏まえて後者の方に捉えた評価が日本語圏、英語圏ともに散見される(上記B!誌含め)。"最左翼"という表現をよく見るが、実際はむしろ現代グラインドコアの教科書といったほうが近いのではないか。