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初めてプリキュアの映画を観たらかなり良かった(映画デパプリネタバレ感想)

【映画『デリシャスパーティ♡プリキュア 夢みる♡お子さまランチ』のネタバレを大量に含みます】

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プリキュアは初代からリアタイしようと思えばできた世代ですが、当時は「少女アニメなんてダサくてみてられない」今は単純に早起きができないということで、起床時にやってたら横目に見る程度の付き合い方です。デパプリは歴代プリキュアの中ではトップクラスに見ている方だけど、それでも総視聴時間は放送時間の半分にも満たないくらいのはず。
そんな中知人に誘われて「まあ基本的な設定やキャラの見た目など、ある程度予備知識があるのでそこそこ楽しめるかな」と思って映画『デリシャスパーティープリキュア 夢みる♡お子さまランチ』を見に行ったんですが、これがだいぶ良かったです。涙腺が緩む瞬間が幾度かあった。

感じたこと箇条書き

記憶を掘り起こすように書いているのでだいぶ乱文です。
・まず始まるのがお子様向けのアナウンス。「立って歩き回らず、手拍子やグッズでプリキュアを応援しよう!」というもので、「応援上映とかじゃなくても公式にこういう事言うんだ……」と驚くと同時に、おおらかさに感心した。
・ゆいの暮らす定食屋にわたし(鑑賞者)が入店すると、お子様ランチを頼む前に映画を一本見ようという話になり……という流れで本編に入る。厳密には劇中劇なのかな。
・初手バトルだ!いっつも本拠地にいる敵女性幹部が前線に出ており、TV版でよく見るナルシストルーとごわすロボットが出てこない(最後まで出てこなかった)。
・キャラ説明が丁寧で、まだ顔と名前が一致していない私にはありがたかった。
・一瞬で建築される、未知の新エネルギーに全動力を依存したテーマパーク……。まあこういうザルはいいんです別に。
・マスコットキャラクターたちが人間態に変身した!メンメンが若干ショタっぽい。
・あまねさんがジェットコースターダメダメなのいいですね。あの口調なので余計に。
・拓海くんも来る。ゆいとの距離感完全に付き合ってる感じじゃない!?
・拓海くんが何気なく言う「お子様ランチなんてガキが食うもの(要旨)」は、成長意欲の強いコメコメのキーになるだけでなく、ラスボス・ケットシーの心にある「僕はお子様ランチを食べる資格がない」と対になっているのが粋でしたね。
・警備ロボットの声優、お笑いコンビの和牛だったのか。
・警備ロボットに囲まれたプリキュアたちの戦闘が「3人の肉弾戦で隙を作ってフィナーレが一点突破、足払いでのドミノ倒しを狙う」というめちゃくちゃクレバーで泥臭い戦い方だったのかっこよかったな。
・生身のゆいに対する「初対面のはずだが?(微笑)」かっこよすぎ。
・さらわれた妖精たちのケットシーとの食事会シーン、ケットシーの理念がかなり強い本心から出たものだとはっきりわかるのが良かった。これみよがしに背中のクソデカファスナーを見せるように踊るのも、自分が姿かたちを偽っていることへの後ろめたさの表れっぽくて切ない。
・食事の際の「僕が猫だとわかったのは――」から壁じゅうの落書きで子供にもわかりやすく伏線を回収するの、幼児向けのわかりやすい解説でありながら大人から観てもくどくない程度ですごい。
ケットシーの回想シーンは「精神世界に浮かんだステンドグラス」の形式で行われるんだけどこれが切なくて美しい。
・激昂したケットシーがドリーミアをアッザムみたいなロボットに変形させ、最終決戦へ。即座にロボットの足を狙い体制を崩さんとする戦法にプリキュアイズムを見る。
・葛藤し戦闘に参加できないゆい。ケットシーの思想を誤りと断じることが出来ず、「自分のように出会いに恵まれなければ、ああなってもおかしくないのかもしれない」「『ご飯は笑顔!』というわけにはいかないのか」(いずれも要旨)と思い悩むが、対話のために変身する決意をする。こういう姿勢に「この作品は真剣だな」と感じた。
・感情をエネルギーにする装置を利用するケットシーに対して「じゃあもっと強い思いをぶつければ勝てる」と言い放つ妖精たち、映画の熱量に乗って無茶を言っていて面白い。実際鑑賞中はその熱意に飲まれているので無茶とは思わなかったが。
・マスコット妖精3匹が人間態のみならず単体でプリキュアに変身。それに合わせてプリキュアのみんなも衣装変化。とにかくキラキラした変身モーションの多幸感がすごい。
・ここからは対ミサイル戦の作画が凄まじいことに。大量のエビフライ型ミサイルによる長尺板野サーカスが観られるぞ!あとキュアスパイシーの「食パンプレスファンネル」とでも呼ぶべきパワフルな戦闘スタイルが私は本当に好きで、映画の作画で見られたのが本当に嬉しい!中距離に2枚の食パンを出現させて対象をぶっ潰すアレ、めちゃくちゃかっこよくないですか。しかも今回は大量のミサイル相手にそれをやるんですよ。
・ロボ戦勝利後は精神世界っぽい謎キラキラ空間での対話シーン。自分のことを改めて「もうお子様ランチを食べる資格はない」と断罪するケットシーの姿が痛々しい。実際劇場内ではこのシーンで男児が大声を上げてボロ泣きしていた。
・ゆいがケットシーに「これからは悲しみも涙も私と分け合おう」みたいなこと言うのは流石に泣きそうになった。この映画の解決は「世界はあなたが思っているような邪悪なものではなく素晴らしいものだ!」ではなくて、「あなたのように苦しまざるを得ない人が安らげる領域を作ってあげたい」なんだよな。ちゃんとさっきの葛藤がこの対話にしっかりと生きている。そしてその領域が「お子様ランチ」なのだ。
・最後、まだまだ中途半端な存在のコメコメがヒーローと呼ばれるのも嬉しかった。お子様ランチという視点でいうとコメコメの態度はかなり中途半端(=大人か子供か中途半端)なんだけど、そんな子でも勇気を出して戦って対話できるのならそれはヒーローなんだ、というメッセージ性を感じた。
・本編が終わったあとは定食屋に視点が戻り、ものすごく強引に先輩プリキュアが大量に登場するボーナスシナリオに。明るいギャグ短編で楽しかったです。
カトキハジメがサブキャラデザインに参加していた。警備ロボット?

まとめ

本当に良かった……。「お子様ランチ」というキーワードを自分の幼さや弱さを受け入れることに紐付けた一貫性のあるシナリオが本当にきれい。否定しようのない巨大な悪に飲まれた人に、「みんなでご飯を食べれば笑顔になれるよ!」的な姿勢の主人公がどう対話するのか?という問題に向き合わなければいけないクライマックスもすごく真剣に作られている。子供向けにしっかり説明し、伏線もあからさまに張って明確に回収するというのを徹底しながらもメインテーマは大人も正解が出せない重いものを取り上げている。本編もちゃんと見ようと思います。