ウゴガベ

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2023年7月第1週の日記

あったこと

仕事は新規開拓の仕事が複数件重なったり前例のないプロジェクトが正念場を迎えて胃がやられたりしたがなんとか乗り切った。本当に辛かったな。

丸亀製麺の「鬼おろし肉ぶっかけ」美味い。牛脂がぶっかけつゆで冷えて固まるのが玉に瑕。大根おろしって今まで全く良さが分からなかったけどこれで急に好きになった。蕎麦とかに入れまくっていくぞ。自宅にも普通のおろし金だけじゃなくて鬼おろし用のやつほしいかもしれない。

土曜日はコストコ祭り。昼食はガーリックシュリンプまぜそば、夕食は赤海老の刺し身。赤海老おすすめです。デカいし甘海老並みに味が濃い。有頭なので味噌汁にも使える。あわせて北雪酒造『北雪純米吟醸 夏季限定酒』も飲む。新潟旅行で知った酒で、酸味が心地よい爽やかな味わいの中で旨味がそれを妨げない程度にちゃんと主張する。

自宅でボーカル録音をしたくて吸音材と遮音材を買った。自作のボーカル録音ブース(頭部のみ覆う程度)を作ろうと思って。ガワはダンボールで良いかと思っているのだが十分なサイズが確保できるほど集まっていない。でもまあ材料の出費でかなりの痛手を負っているので、ダンボールが集まる前にモチベーション下がってプラン自然消滅とはならないだろう……多分。

金曜日は有休。ライブ(後述)の前に水道施設が見たくなり早めに出発して仙台市水道記念館へ。社会科見学で行くようなところに大人一人で行くのはなかなか楽しい。無料だし。

www.suidou.city.sendai.jp

建物の裏にある坂を150mほど下ると昭和9年に建設された青下第1ダムがある。もっと上流に第2,第3があるらしい。

何故か玉石が敷き詰められている重力式コンクリートダム。玉石の理由は分からない(記念館の資料でもよく分からなかった)が、おしゃれでいいと思う。

橋にくっついている取水塔。

静かなダムの水面。かなり小さい。同じ宮城のダムでいうと釜房ダムの約1/400(総貯水量)。

ダムに架かっている橋も当時のものを補強してそのまま使っている。

豊かな自然と水のせいでめちゃくちゃ高温多湿だったので夏季に行くなら覚悟した方がいい。

音楽

アメリカのデスグラインド/ゴアメタルバンドExhumedの仙台公演に行った。

※招聘に関わっていると思われるObliteration Records 関根代表のツイート。写真と私は無関係。

仙台で出たのは3バンド。

Taste→仙台のテクデス。見るのはこれで4,5回目?相変わらず異様に複雑な楽曲と切れ味鋭いギター、聞き取り不可能なデスボーカル(MC含む)。

Infernal Hate→スペインの3人組ブルデス。これが予想だにしない大当たり。ギター、ベース、ドラム全員がボーカルを取り、メインはドラム。怒涛のブラストビートが牽引する短めの楽曲に勢いがあって圧倒された。2曲ほどあったミドル~アップテンポのシンプルでOSDM/スラッシュメタル風な楽曲もできが良くて場をガンガン盛り上げていた。前座なのにアンコールも起きていた。圧倒されたな。

Exhumed→いわゆるデスグラインドなんだけど、中期の楽曲なんかは結構ギターがメロディアス。ステージでの立ち振る舞いがユニークで、デスメタル的な厳つさやゴアグラインド的なファニーさがなく、正統派っぽい暑苦しさやリードギターの目立たせ方、スラッシュメタル的な勢いを強調した演奏がHM/HRらしさにあふれていたので、「デスグラインドって良いなあ」というよりも「ヘヴィメタルっていいなあ」と思えるライブだった。

3バンド、ローカルのライブハウスでのイベントだったけどラウドパークにも匹敵する満足感だった。いやー良かった!物販で買ったInfernal Hateの音源も聴き込むし、Exhumedの持ってない旧作も少しずつ揃えていこう。

今年はライブ多め(過疎地暮らしにしては)の年になりそうだなー。
現状こんな感じ。
行った→LOUD PARK2023、Exhumed@仙台
行きたい→遊睦民祭 in 蔵王9mm Parabellum Bullet@多賀城
無理そうだけど行きたい→Leenalchi@東京、浅草デスフェスト

 

 

2023年6月第4週&第5週の日記

あったこと

心労が溜まる2週間だった。夏バテも原因の一つだろうが。

いわゆる「山形のだし」を作り置きした。白ごはん.comのレシピをベースにしつつ若干配分を変えたのと、みじん切り作業はすべてぶんぶんチョッパーでやった。全く問題なくめちゃくちゃうまい。

www.sirogohan.com

漫画『ハコヅメ』が無料期間だったので読んだ。面白かった。作者が明確に「警察官になりたい人が増えるようなプロパガンダ」として書いていながらも目を背けたくなるようなシーンも多い。そういった意味では認知症の回や守護天使編あたりが凄かった。そういうシリアスさや、たとえ悪人がいなくても男性が女性を加害してしまう構造的な歪みの描写などが、下品で刺々しいがあっけらかんとしたギャグシーンと自然に連結しているのが独特の読み味を出していた。第2部待ってます。新作『だんドーン』も面白いけど。

最近いわゆるピッグスクイールの練習をいっぱいしている。マイクにはあまり乗らないのでバレづらいのだが地声の音域が若干漏れているのをなくしていきたい。目指せ豚の断末魔。

職場の機材が変わり、未だ慣れないため生産性が低い。目が滑る。

トラブルでほとんど眠れず吐き気に苦しんだある日、いつもなら二日酔いや嘔吐を抑えるための胃腸薬を飲むことが多いのだが、ふと車酔い・船酔い用の薬を飲んでみたところ効果てきめん。試してみるものである。

 

物語の感想

安部公房『けものたちは故郷をめざす』

読了。満州引き上げに際した主人公があらゆるレイヤーの「境界線」に翻弄され、漠然とした望郷の念を喪失し本質的に自分が心身ともに安住できる場所を求める思いに変化し、幽閉されながら自分の居場所を渇望して発狂寸前の状態で投げ出されるように終わる。凄まじいバッドエンド。
砂の女』が共同体からの離脱を目論むもその先もまた別の共同体に過ぎないという経験をして、脱出願望は捨てていないと自己暗示しつつも定住を選んだのとは対照的に『けものたち』は共同体に戻ろうとする願望が"仲間"よりも利害のために動く共同体そのものや、共同体への所属が常に良い意味を持つとは限らない様々な"境界線"によって砕かれている。"境界線"については、領土的なトラブルはもちろんだが、パートナーにして元凶であり複雑なルーツを持つ謎の男・高がむしろ象徴的だ。むしろ主人公を助けたり幸運を授けたのはソ連軍人、白少将、馬車の青年、犬殺しの少年など、常に外国人から齎されているという対比は面白い。
安部も引揚者だが、実体験への肉付けというより、愛国心への懐疑と人間の尊厳に関する問題提起を、自身の体験も参考にして描いたという気がする。バッドエンドではあるが、主人公が無垢で無知な愛国心の誤りに気づき、自分の心身の欲望にかなう形での、どこまでもリアルな居場所を求める存在に脱皮したという意味で、人間の生き様としては凄まじい成長を描いた作品とも言える。
そういう思想的な点を抜きにしても、道中の極寒の荒野を歩きながら朦朧とした頭で精彩を欠いたサバイバルが延々と続くところの悪夢ぶりはすごい。死ぬまでに一回はこのシーンを夢に見るだろう。マジで嫌。

機動戦士ガンダム水星の魔女

なんだかんだでめちゃくちゃ爽やかな大団円で終わった。ただ、あまりに急ぎすぎて釈然としない感じはした。スレッタとミオリネがちゃんと対面して交流を深める時間とか、政治的な勢力図の変化とか、グエルの地球での経験とか、もっと色々見たかった。それを削って終盤やったのが「ガンダムっぽいこと総ざらい」というのも複雑な気持ち。いや、正直笑えたり熱かったりで喜んでいたのも正直なところだけど、視聴者に向けたファンサービスより登場人物にちゃんと向き合って欲しかった。家父長制の中で不器用にしかし真剣にもがき続けたジェターク一家の物語とか、弱さゆえの過ちに違う向き合い方をしていたベルメリアとニカの対峙とか、「やりたいことリスト」「進めば2つ」の向こう側へ到達できたスレッタとかを見るに、そういう事ができる作品だと思っていたので。MSもカッコいいのに目立った活躍が一瞬しかない機体が多いのも物足りない。ジェリドじゃないんだから。「余裕がない中でもガンダムしてくれたなー」と「余裕がない中選び取ったのは『新しい水星らしさ』より『ガンダム要素』なのね…」で揺れている。
あと、これは不満というより肩透かしという意味なんだけど、1話の「水星ってお堅いのね」が「同性恋愛を大っぴらにしてなにかあるような世界ではないので、今後同性愛要素は空気です」という意味だとは思わなかったな。てっきり「同性恋愛を大っぴらにしてなにかあるような世界ではないので、同性愛を自然に表明できる世界だからこその物語にしますよ」ってことかと……。
ただ、なんだかんだでこういう爽やかな最終回は好き。なんだかんだで人の本気に応えて起こる奇跡ってグッと来ちゃうし。エラン関連の拾い方とか単一の場面だけに限って言えば素晴らしかった場面も数多くあり、だからこそ流れを掘り下げて私の中の「オッいい感じに収めようとしとるやん」みたいな邪念をぶっ潰してほしかった。
良し悪しでなく気になることとしては「風向きおばさんズなんかギャグ顔敗北で終わって数年後まったりしてたけどいいのか」「シャディク、クワイエットゼロの一件も背負うのであればまず間違いなく極刑では…?嫌だ!!!嫌だ!!!!!」ということ。シャディク……

 

2023年6月第2週&第3週の日記

あったこと

前回の投稿以降、紙の日記をつけることにした。

www.takahashishoten.co.jp

これ。1日の記入サイズが小さいのと、装丁がデスクに出しっぱでも抵抗がないちょうど良さなので記入忘れやサボりが予防しやすい。Webには書けない固有名詞まみれの物事を記録しておけるのは助かる。

Chrome拡張機能のDeepL翻訳を導入した。誤クリックも多いけどwebページやTwitterの翻訳精度が上がるので助かる。ただDeepLはたまにめちゃくちゃな要約をすることがあるので念のための確認は必須だけど。

夜、近所のデカいガソリンスタンドの敷地内(屋根の下)を数十匹のコウモリが飛び回っていた。照明にたかる虫が食い放題だからか。田舎で街灯も少ないしね。

フライパンのテフロン、限界が近づいている。味の素の冷凍餃子もくっつき始めるようになってきた。

送っちゃおうか。

仕事が相変わらず忙しい。先週末は休日出勤と遠方での法事が連続して一切休めなかった。業務の総量は暇な時間がない程度でありそう多くはないんだけど、あまりに複数の案件に分散されすぎてしまって一回の対人コミュニケーションで進展/処理できる量が少なすぎる。自分の根回し力のなさを恨む。

色んなところに出歩かなきゃいけないので猿にも会う。

TV東京の『SIX HACK』、全6話予定のところ3話放送して放送休止、第4話に代えて「放送休止の実態を追う検証番組」という体裁のモキュメンタリーをWeb配信して終了した。

tver.jp

樋口恭介、ダ・ヴィンチ・恐山両氏のネット上での発言を見るに「放送休止は演出ではなく本当の外圧を伴う予想外のものだが、それ踏まえて全く予定していなかった第4話("検証番組")を作成した」ということらしい。「電波な番組」をメタ化した幕切れは予想外で面白かったけど没入しきれなかったことの寂しさもあり。
作中に出てくる陰謀論系用語「ケムトレイル」を家族が知らなかった。そういえばレプティリアン、ゴム人間、ディープステートとかも知らないと言っていた気がする。自分が陰謀論の棲む箱庭を作っている(主にネット上において)という事実、嫌だな。

これで「bandcampで買ったあとアートワーク含めた全体に愛着が湧いてしまってフィジカルで欲しくなったけどもう買えないorそもそも出していない作品」をCD-Rに焼くときにちょっと満足度が上がる。

水路最近ハマってるんだけど深め方がよくわかっていない。ただ日常に上記の行為が入ってきただけだ。どうすれば良いんだというもどかしさと、初めて自発的に音楽を聴くようになった頃の、リップスライム以外のラップもIron Maiden以外のメタルもOasis以外のメジャー洋楽ロックも知らない状態でここから先どうすれば良いんだと思いつつ、一枚を一日に何周もしたり、親のCDを勝手に漁ったり、学校の情報室のWindows Meパソコンでwikipediaの「ヘヴィメタルアーティストの一覧」を印刷してまだ見ぬバンドに思いを馳せていたりした頃を思い出してあまり悪くない時期だなとも感じる。

直近で良かった水路。川の名前がついているのだが土地の歴史的に江戸時代に耕作のため作られた人工河川っぽいのでまあ水路でしょ。太い水路と細い水路が全く別のスピードで流れており、それが街のど真ん中を不自然にぶち抜いているのが面白い。順序で言えば不自然なのは水路ではなく町並みの方なのだが。

 

音楽

Six Feet Underの初期作をいっぱい聴いた。Chrisのvoが4thアルバムTrue Carnageから深みを増していることがわかる。

www.youtube.com

新譜は日本のスラッジメタルChurch of Miseryのアルバムと同じく日本のスラッシュメタル泥虎(デイドラ)のEPを聴いた。泥虎、この音楽性と迫力のままフルアルバム出したら年間ベスト入り確定しちゃうかも。

www.youtube.com

2023年5月第4週&6月第1週の日記

あったこと

5月末が信じられないくらい心理的負荷の高い仕事が複数舞い込み、内臓の調子もすこぶる悪かったが仕事の方はなんとか落ち着いた。ただし胃腸の調子はそこまで戻らず。どうやら夏バテもしているっぽい。

ノイズミュージック制作モチベーションが再燃しており、こつこつとあれこれしている。

近所のブックオフがリニューアルオープンしたので見に行った。メタル系CDが充実しており満足。レコードコーナーがこの地域の店舗にしてはかなり大きいのに時代の流れを感じた。TANK(NWOBHM)のLPが5000円とかで売ってた。

漫画『K2』は無料期間中に全部読めた。宮坂さん可愛いね。小学生の頃長門有希を知ったのと同じときめきがある。こういう昭和の人情もの感覚を残した作品は昔から好きだ。小学生の時に時代劇ばっかり見て育ったからかな。大岡越前が好きだった。

セブンイレブンコラボはクリアファイル1枚ゲット。田舎だけど思いの外減っていた。推しとか担当とか特にないのでこの1枚だけでよい。買ったグミはポイフルとヨーグレットグミとハイレモングミ。ポイフルが記憶より遥かに固くて食べごたえがある。後者2つは元ネタであるタブレットの方が美味い。

映画『岸辺露伴ルーヴルへ行く』を観た。

面白かった。原作からの補完やアレンジもほぼいい方向に作用していたと思う。原作にはいない泉京香を入れつつ、彼女がいるからこそ成立する物語に変貌させた冒険も個人的には高評価。
ただ、地下保管庫でのクライマックスもNHKドラマっぽい地味さなのは若干滑稽だったかも。あと山村仁左右衛門の回想シーンは丁寧すぎて逆にお涙頂戴感があった。でも差し引きでプラスです。

2周年記念で各地劇場で再上映された『劇場版少女☆歌劇レヴュースタァライト』も観た。BDを所持しているので何回めかの観賞だけど、映画館で見るのは初めて。

超良かったです。劇場音響で聞く石動双葉の叫びで情けないくらいに泣いてしまった。レヴューの迫力もスクリーンだと段違いだ。
本作の優れたところは、あの"レヴュー"の突拍子もない演出の全てが取り払われたとしても、対話を軸とした誠実で優れた(ただし多少地味な)青春学生映画になるところだと思う。細かいところはさておき、強豪校の野球部3年生を軸にして、露崎まひるポジションの部員が「どうしてボックスに立ってるのに振らないの?」と凄むのだとしてもある程度成立するのである(劇の方は観客がいるから成り立つもの、という意味で、示唆されるものは大きく変わるのだが。そういった意味では野球よりプロレスとかのほうが近い)。
前々からTwitterではたまに書いていたんだけど、グラップラー刃牙外伝(猪狩vs斗羽)は「アタシ再生産」の物語だと思っている。

アニメ『機動戦士ガンダム 水星の魔女』19話、20話を観た。シャディクはラスボスにならないのかな。てっきりシロッコポジションだと思っていたが。
19話のときTLで、アーシアン側からの、ミオリネはじめとするスペーシアンへの不信感をあらわにした態度について「こいつらも悪い」「そんなんだからうまく行かないんだよ」的な感想が多少流れてきた。被抑圧層が抑圧を理由にして抑圧層に向ける攻撃的な感覚を「そんなんだから抑圧されるままなんだ」と逆転して誤って捉えるのは良くないなーと思った。この感覚を差別のツールとして現実に持ち込むことのないよう気をつけていきたい(気づいていないだけで私もめちゃくちゃしまくってるのであろうが、自覚できる分だけでも減らしていきたいという話)。あとはまあアレですね、Twitterのオススメ欄って良くない。PC版は拡張機能で消しているのだがスマホの方でたまに目に入ってしまう。

音楽はSPOILMANの新譜『COMBER』『UNDERTOW』をよく聴いていた。特にUNDERTOWが良い。アグレッシブで不穏なノイズロックだけど、中盤の優れたクラウトロック楽曲などの変化球がしっかり効いている。比較的キャッチーなCOMBERと比較しているということもあるが面白い怪作。

spoilman.bandcamp.com

 

 

2023年5月第3週の日記+簡易新譜レビュー(Ignominy, People In The Box)

あったこと

仕事は大きな問題なく進んでいる。しかし、「大きな問題が無いなんてありえない、今起こっていないということは水面下で肥大化している最中なのだ」と考える癖がついてしまっており、「大丈夫なので精神的にきつい」という状態になっている。良くないのはわかっているんだけどそう簡単には治しようもない性癖なので諦めている。
仕事で役所に電話することが多いが、やる気がなさそうなのは別にいいんだけど「電話しやがってよ……死なねえかなこいつ……」みたいな「けだるげな殺意」とでも言うべき態度を向けてくる人がそれなりに多いのはなんとかならないのか。田舎だから?

腹筋ローラーを隔日でやっている。膝コロ50回くらいなら余裕を持ってできるようになってきた。

漫画『K2』の無料公開期間が今月末までということで、読み終われるか自身がないくらいの速度で読んでいる。時代に即した医療技術や医大事情を描くくせに「奈良時代とかから献血や臓器移植がしきたりとして行われている村で育った前作主人公のクローンが主人公」みたいな滅茶苦茶な要素もある。こういう作品独自のリアリティラインが貫かれてる作品って好きになっちゃう。期間中に読み追われるかな。

積読していた安部公房作品を少しずつ読んでいる。先日短編集『R26号の発明・鉛の卵』を読了。『鉛の卵』は藤子不二雄的などんでん返し付きのダークかつわかりやすいSFで、こういうのも書く人だったのかと驚いた。『鏡と呼子』がよくわかっていない。『変形』『死んだ娘が…』は安部公房の独特の幽霊観が前提となっているのが面白い。『棒』は高校の教科書で読んだ。アレが初めての安部公房体験だったか。
今は『けものたちは故郷を目指す』を読んでいる。大戦末期の満州が舞台の長編で気が滅入っており全然進んでいない。でもタイトルが超カッコいいのでちゃんと読みます。

 

ニチアサ

相変わらず全部面白い。特に今週(本日記の投稿日)の『王様戦隊キングオージャー』は凄かった。
『キングオージャー』は、祖国の王政に反旗を翻した少年一人と各国の王様四人が虫モチーフの戦士に変身して地下帝国の敵と戦う、というのが大枠のストーリーなんだけど、今回は先週からでてきた追加戦士のメイン回。
前回の彼は真意の読めない芝居がかった発言で周囲を煙に巻いてきたのだが、今回で「人間の父と地下帝国人の母のミックスかつ長命」「純血主義の王政によって歴史から抹消された親子」「敵対種族同士(両親の祖国)の和平に至る筋書きを予言書として残し、2000年にわたって成就に向けマッチポンプ的に暗躍してきた」というバッググラウンドを自ら明らかにする。
といっても「歴史を裏から操ったシナリオライターとしての矜持」「敵対種族の血を継ぐものの負い目」という自意識から、当初は自分から言い出さずに「あとは考えれば真実にたどり着くはず」「行間を読め」と明言を避けていたものの、キングオージャー一同の察しの悪さに我慢できなくて自ら明かす形となってしまう。しかしそれを聞いた一同は「最初からそう言ってくれればよかったのに」とあっけなく受け入れる。追加戦士はどこかスッキリした笑顔で「これが今の王か、母様」とつぶやき、その表情で過去に彼とその両親受けた迫害の凄惨さを示唆して終わる。
追加戦士加入という戦隊モノの目玉イベントでありながら人間ドラマにもフォーカスしつつ「種族間」「歴史の狭間」「行間」「蜘蛛のモチーフ」といった要素が伏線としっかりハマった傑作回。
ただ、それ以上に作品の本筋から全く逸れず、むしろ販促すら並行しつつ、上っ面の「真実を語ろうとしない書き手気取り」「行間読み強要のウザキャラ」から「真実を語れば迫害されるマイノリティ」「マジョリティの歩み寄りへの祈り」への転化だったり「『話せば分かる奴らによる世界』に変わるまでに身についてしまった臆病な思考バイアス」とかを通じて人種的マイノリティの周縁化やマイノリティのカミングアウトを描いたのが個人的には凄いと思った。
「王道ファンタジーに政治群像劇に人種差別問題まで何本もやって子供向け特撮として成り立つのか!?」という不安はなく、それらの要素をうまく内包した一本の太い幹を作ってるなーと感じる。独特のドラマで良くも悪くもな「人間らしさ」を描いたドンブラザーズとは全く違った形で現代の寓話を作ろうとしてるのかな。期待している。

 

シャニマス

樋口円香WING編でも思ったけど、シャニマスは「何がプロデューサーじゃ、てめえこの子の人生の責任持つ気あるんか画面越しからよぉ」みたいな、もはや構造上どうしようもない部分に自虐的苛立ちを覚えていて、その上で、露悪にも偽善にもならないよう曖昧な領域で描けることを描こうとしているようなところがある(そうじゃないときもあるけど)。

 

音楽

Ignominy - Imminent Collapse

ignominydeath.bandcamp.com

カナダのいわゆる"不協和音デスメタル(詳しくないけど)"の2023年1st。GorgutsとかUlcerateとかの系譜ではあるんだけど、奇怪なフレーズばかりで構成される楽曲でありながらも案外ストレートな暴力感との両立ができているところが聞き所。比較的シンプル(プログレデスとかに比べれば)なリズム構成と、怒号のような力づちょいボーカルによるところは大きいか。
オールドスクールデスメタルと不協和音デスを直接繋いだような面白い作品で、今年のデスメタルの中でも特に当たりの大推薦作。不気味で名状しがたいキモいリフと力強いリズムの組み合わせで不快なんだか痛快なんだかわからなくなる3.Reminisence of Hatred、とにかく厭で壮絶な雰囲気の5.Nightmare Bacteriaが最高。

 

People In The Box - Camera Obscura

www.youtube.com

日本のポストロックバンド2023年8th。これまでの作品は曲単位で「ニムロッド」「ストックホルム」は聞いたことがあるくらい。有志によるシャニマスイメソン合同誌が面白かったのもあり気にしてはいたが旧譜を漁るまでには至っていなかった。
めちゃくちゃ良かった!ヘヴィネスと浮遊感のあるメロディを巧みに使いわける楽曲もあれば不穏な歌詞の反面たゆたうような優しさが心地よい楽曲も、壮大な楽曲もあり。バンドサウンド"以外"の使い方が好きだな。美しいし挿入箇所も絶妙なピアノとか、中毒性の高いコーラス(8.水晶体に漂う世界が特に素晴らしい!)とか。
好きな曲は1.DPPLGNGR、2.螺旋をほどく話、5.スマート製品、6.自家製ベーコンの作り方、8.水晶体に漂う世界。純粋な好きとは別だけど、7.中央競人場はスガシカオの"病んでる"曲をノイズロック化したような曲調に意外性があった。
明らかに現代社会の不快さをモチーフにしつつもループ構造からの「ドッペルゲンガー」という一見して不可解な内容も読解欲を掻き立てられて良い。
旧作も少し漁ってみよう。

 

Twitter

Twitterで「#私を構成する42枚」というタグがあったので自分でもやってみたんだけど、人生での影響度の大きさで決めたので他人が見たとき不可解な内容になってるよなー、補足記事なんか書きたいなー、と思いつつ、42枚分も説明を書く面倒臭さに負けてしまい放置している。

「人生で初めて"情報ゼロ買い"に失敗したと感じた作品(Video Nasties - On All Fours)」「初めてマイナス(自分の精神状態)×マイナス(作品の精神性)=プラスの理屈で元気になる体験をさせてくれた作品(Eyehategod - Take Us Needed For Pain)」などを含む。
Video Nastiesはギターがうるさいだけのへなちょこガレージロック/ポストパンク。アルバムはしょうもないんだけど、当時の落胆も治まった今となっては、情けなくもキャッチーなConversation Diesと3:00あたりからドラマチックに盛り上がるDead Againの2曲があるしまあ良いかな、という感じ。特に後者はかなり良い。

www.youtube.com

www.youtube.com

2023年5月第1&2週の日記+簡易旧譜レビュー(Extreme)

あったこと

GWは車で新潟旅行へ。

バスカレー、角打ち、海鮮などなど、コテコテの観光客ムーヴ。GWに街へ旅行することがこれまであまりなかったので、初日は「どこかしら空いてるだろう」の甘っちょろいあてが外れて夕食時にしばし街ブラになってしまうなどのミスを犯したがこれもまた経験である。
「のっぺ」って初めて食べたけど実家の味っぽい感じで滅茶苦茶好みだった。知らない煮物っていいね。

www.city.tsubame.niigata.jp

燕市の使われなくなった給水塔も見に行った。安全上の都合で中には入れなくなっていたのが残念。写真で伝わるかわからないが高さが30m以上ありサザビーよりデカい。
用水関係の施設見るの好きなんだよな。分岐水路とかも見るだけで快楽が凄い。

給水塔の近くの水路。明らかにもう使われていないであろう小さな石橋が見える。上記サイトに当時の写真が掲載されているが、それの左端にかかっている丸太みたいな橋と位置は同じ。一回掛け替えたのだろう。

この水路はすぐに暗渠となり上の写真の奥へ進む道の下を通っている。

ブックオフも回った。ブックオフのCDコーナーは地域差がデカい。

GW開けの仕事には全然身が入らなかった。でも何もかもスムーズに進んだので、今私がやってる仕事は気合とかどうでもいいタイプのアレらしいです。

 

シャニマス

シャニマスのイベントシナリオ『ヒカリと夜の音楽、またはクロノスタシス』すごく良かったな。最近のシャニマスは「自分たちに救える人もいれば救えない人もいる」「他人の人生については、それそのものどころか、それに触れられるかや変化のベクトルすら自分たちにはuncontrollableである」という切り口(アンカーボルトソングとかこぶものたちとか線たちの12月とか)を真剣に取り上げつつそこに全力で向き合ったり、その先(≠正解)を示す物語にする姿勢があって好みだ。

音楽

Hollow Shade

旅行の時、新潟駅前で地元のV系メタルコアバンドHollow Shadeがライブしていた。ドラムは打ち込みだったがGtとBaの音はPAからだしているようで異様に音がいいしVoもやたら上手い(特にスクリーム)。正直カラオケ音源流していただけなのでは、と疑ったりもした。

www.youtube.com

公式でその日の動画が上がっているね。多分生演奏だな……。客は少なかったが堂々としたパフォーマンスで良かった。

www.youtube.com

音源もなかなかいい感じっぽい。メジャー感があり、"界隈外"から観たときに突っ込みどころが少なくフックが多い。

 

www.youtube.com

マジで何?しかもこの終わっているギタリストこそ唯一のオリジナルメンバーのようだ。

 

Extreme - Waiting For The Punchline

www.youtube.com

4th。数多の「グランジ時代のHR/HMスラッシュメタルバンドの色々、Fightの2nd、Queensrycheの5thなどが代表的か)」の一作ではあるが、おそらくその中でもかなり出色の出来の一作。
日本盤ライナーノーツでは、過去のファンクを隠し味にしたグラムメタル路線から本作のサウンドへの転身を「ロックへの原点回帰」としているけれど、まあ正直な話、そういったクラシックロック回帰の志向と同じくらいグランジの影響が強いのも明らかで、ブルージーな楽曲でも90年代の暗さと重さを強く感じる。
ただ独特なのはそのバランス感で、ベースは滅茶苦茶グランジ的、ドラムはグランジとZEPのニュアンスを折衷したプレイ(マイク・マンジーニが叩いてる曲はちょっと元気だけど)を見せるが、その上に乗るヌーノのギターは単音リフも織り交ぜつつ、ブルージーだったりクラシカルだったりメタルだったりへんてこだったりとやりたい放題の鮮烈さ。ボーカルはどんな曲も力強く自分の色でハスキーに歌いこなす。この独特なバランス感覚を持った路線は現代のほうが再評価されそうだ。
完全にグランジなBa&Drとファンキーな単音リフとハードロック系の熱唱がなぜか噛み合ってしまっている1.There is No Godの時点で面白すぎる。と思えばうねるベースと浮遊感のあるギターでルーズに聞かせる3.Tell Me Something I Don't Knowみたいな曲もあったり。5.Naked、7.Leave Me Aloneあたりはどちらもかなりブルージーな楽曲だがヌーノのギターが面白くて、スローな曲調に反しリラックスどころかかなり耳を惹かれてしまう。
HR/HMらしくギターの速弾きインスト曲6.Midnight Expressもあるのだが、アコギの爆速ソロというところがユニークだしテクも笑っちゃうくらい凄い。
アップテンポなドラムがリードするコテコテのハードロック曲8.No Respectでさえ、ハードコア顔負けに絶叫しまくるボーカル、グルーヴィーなベース、華麗かつ壮絶すぎるギターソロで安直さはゼロ。
タイトルトラックとなる12.はなぜかシークレットトラック。グランジっぽい音作りのギターがベースとユニゾンしながら速弾きを織り交ぜるという意味不明かつキャッチーなヘヴィリフのインパクトは抜群。
総じて、時代の荒波を乗りこなそうとしつつ「原点回帰した保守的なクラシックハードロック」にも「グランジにすり寄った退屈なヘヴィロック」にもならず独自の路線を開拓した(結果どんなラベリングをしても「看板に偽りあり」となってしまう)すごくいい作品だと思う。一般的には2ndが名盤、本作は賛否両論と捉えられているらしいが、過去作も一緒に聞いたうえで正直これが一番好きだ。MetallicaでいうとLoadやReloadよりSt.Angerに近い位置付け(St.Anger大好き!!!)。

2023年4月第4週の日記

あったこと

GWの旅行を目前に控え労働に身が入らなかった。しかし新しい仕事自体は次々と舞い込み、なるべくぜんぶGW開けに回してしまえるよう奔走した。新しいことなんか絶対やりたくないけど新しいことをやらないと中長期的にどん詰まるのは見えているのでしっかり前例のないことをやりまくらないといけない。
後輩は……なんか……例によってである。上としてはカウンセリング的なアレとか病院的なアレとかの対応を検討しているっぽいけどどうなるか。

職場の内履きにいわゆる「健康スリッパ」みたいな、土踏まずとかが盛り上がってるやつを使っていたんだけど、土踏まずが炎症か何かで滅茶苦茶痛くなったのでそれが履けなくなった。平らな安物のスリッパを数日履いたあと湿布を半日貼ったらすっかり治まった。人体の隙間って空くべくして空いているもので、そう簡単に埋めないほうが良いのかもしれない。

自分がやっているホワイトカラーの労働に誇りが持てず、「真実の労働ではない」という感覚が強い。一次産業の現場とか、土木建築とかの、業種コード最序盤の業種に従事している人と比べての劣等感がある。短絡極まる考え方なのは自認しているし、ここでいう「真実の労働」以外が消滅した世界はどうあがいても破滅するんだけど、つまるところ「『真実の労働』以外が存在しないとあらゆる素晴らしいものごとが維持どころか発生すらできないというこのキショい世界が破滅してほしい」みたいな願望の変形にすぎないのだと思う。

家焼肉をした。前回は家に丸2日ほど匂いが残ってしまったので今回は色々対策して「最初から窓全開&サーキュレーター」「食後すぐに焼肉プレートを完全に洗う」「濡れタオルを振り回して脱臭」などした結果ほとんど匂い残らず。勝利。

母の日のプレゼントを選んだ。毎年「地元の消えもの」にしている。

隣町の隣町にきれいな小川があるというので車で30分かけて見に行く。水草がなびくさまがつぶさに観察できるほどきれいな川だった。観察しやすいよう周辺の清掃も行き届いていた。清掃されていないほうがより自然なのだろうからあんまり素直に喜ばない方がいい(きれいな小川=自然な小川でもなかろうし)んだろうけど、このなんてこと無い清流のために汗をかく人々がいることは面白さと美しさがある。

NHK日曜美術館』の再放送で陶芸家・辻村史朗の回を見た。

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山奥の工房で妻とともに穏やかかつ楽しそうに創作活動に励む姿が映るが、陶芸の道に進んだきっかけがある一点の茶碗ということもあり、多様な作品を作る一方で明らかに茶碗だけ熱の入れようが違う。
「壺や花瓶は形や見た目が良いと褒められればそれでいいが、茶碗は違う」「自分の中にある理想像に向かって作る過程で別の価値が生まれていい作品になることはあるが未だ理想の作品は作れていない」(言い方はうろ覚え)と断言する一方で、自分の作品で立てた茶を取材者にすすめるときは「泡たてて飲みゃいいんだよ」と笑う気さくさもある。「穏やかな人間性では突き進めないのではないか」という道に、どこまでも穏やかなまま着の身着のままで突っ込んでるような雰囲気に「妄執と愛嬌がこんな形で両立する人間がいるのか」と衝撃を受けた。
あと、途中で辻村作品のファンという外国人のコレクターが自慢の逸品を取り出したとき、陶芸がわからない私でも息を呑むほど凄い物っぽいことがわかった。鈍くくすんだ黒い円柱側の碗なんだけど、異様に存在感があって「下手にコメントするとこの碗そのものから怒られるのではないか」と思わされる感じ。逆にその他の作品は全然良さがわからなかった。「近所の郷土資料館で毎日やってる陶芸体験教室で今日一の出来だった作品」との違いがわからない。持ったり使えばわかるのか?

 

音楽

ugogg.hatenablog.jp

OGRE YOU ASSHOLEの新作EPが良かったのでレビュー記事を書いた。

あとは昔のスラッシュメタルをたくさん聞いていた。80年代後半のDeath AngelやOverkill等の「余裕ありげなベイエリアスラッシュ」の聴き方が最近やっとわかってきたかも。