ウゴガベ

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2023年6月第4週&第5週の日記

あったこと

心労が溜まる2週間だった。夏バテも原因の一つだろうが。

いわゆる「山形のだし」を作り置きした。白ごはん.comのレシピをベースにしつつ若干配分を変えたのと、みじん切り作業はすべてぶんぶんチョッパーでやった。全く問題なくめちゃくちゃうまい。

www.sirogohan.com

漫画『ハコヅメ』が無料期間だったので読んだ。面白かった。作者が明確に「警察官になりたい人が増えるようなプロパガンダ」として書いていながらも目を背けたくなるようなシーンも多い。そういった意味では認知症の回や守護天使編あたりが凄かった。そういうシリアスさや、たとえ悪人がいなくても男性が女性を加害してしまう構造的な歪みの描写などが、下品で刺々しいがあっけらかんとしたギャグシーンと自然に連結しているのが独特の読み味を出していた。第2部待ってます。新作『だんドーン』も面白いけど。

最近いわゆるピッグスクイールの練習をいっぱいしている。マイクにはあまり乗らないのでバレづらいのだが地声の音域が若干漏れているのをなくしていきたい。目指せ豚の断末魔。

職場の機材が変わり、未だ慣れないため生産性が低い。目が滑る。

トラブルでほとんど眠れず吐き気に苦しんだある日、いつもなら二日酔いや嘔吐を抑えるための胃腸薬を飲むことが多いのだが、ふと車酔い・船酔い用の薬を飲んでみたところ効果てきめん。試してみるものである。

 

物語の感想

安部公房『けものたちは故郷をめざす』

読了。満州引き上げに際した主人公があらゆるレイヤーの「境界線」に翻弄され、漠然とした望郷の念を喪失し本質的に自分が心身ともに安住できる場所を求める思いに変化し、幽閉されながら自分の居場所を渇望して発狂寸前の状態で投げ出されるように終わる。凄まじいバッドエンド。
砂の女』が共同体からの離脱を目論むもその先もまた別の共同体に過ぎないという経験をして、脱出願望は捨てていないと自己暗示しつつも定住を選んだのとは対照的に『けものたち』は共同体に戻ろうとする願望が"仲間"よりも利害のために動く共同体そのものや、共同体への所属が常に良い意味を持つとは限らない様々な"境界線"によって砕かれている。"境界線"については、領土的なトラブルはもちろんだが、パートナーにして元凶であり複雑なルーツを持つ謎の男・高がむしろ象徴的だ。むしろ主人公を助けたり幸運を授けたのはソ連軍人、白少将、馬車の青年、犬殺しの少年など、常に外国人から齎されているという対比は面白い。
安部も引揚者だが、実体験への肉付けというより、愛国心への懐疑と人間の尊厳に関する問題提起を、自身の体験も参考にして描いたという気がする。バッドエンドではあるが、主人公が無垢で無知な愛国心の誤りに気づき、自分の心身の欲望にかなう形での、どこまでもリアルな居場所を求める存在に脱皮したという意味で、人間の生き様としては凄まじい成長を描いた作品とも言える。
そういう思想的な点を抜きにしても、道中の極寒の荒野を歩きながら朦朧とした頭で精彩を欠いたサバイバルが延々と続くところの悪夢ぶりはすごい。死ぬまでに一回はこのシーンを夢に見るだろう。マジで嫌。

機動戦士ガンダム水星の魔女

なんだかんだでめちゃくちゃ爽やかな大団円で終わった。ただ、あまりに急ぎすぎて釈然としない感じはした。スレッタとミオリネがちゃんと対面して交流を深める時間とか、政治的な勢力図の変化とか、グエルの地球での経験とか、もっと色々見たかった。それを削って終盤やったのが「ガンダムっぽいこと総ざらい」というのも複雑な気持ち。いや、正直笑えたり熱かったりで喜んでいたのも正直なところだけど、視聴者に向けたファンサービスより登場人物にちゃんと向き合って欲しかった。家父長制の中で不器用にしかし真剣にもがき続けたジェターク一家の物語とか、弱さゆえの過ちに違う向き合い方をしていたベルメリアとニカの対峙とか、「やりたいことリスト」「進めば2つ」の向こう側へ到達できたスレッタとかを見るに、そういう事ができる作品だと思っていたので。MSもカッコいいのに目立った活躍が一瞬しかない機体が多いのも物足りない。ジェリドじゃないんだから。「余裕がない中でもガンダムしてくれたなー」と「余裕がない中選び取ったのは『新しい水星らしさ』より『ガンダム要素』なのね…」で揺れている。
あと、これは不満というより肩透かしという意味なんだけど、1話の「水星ってお堅いのね」が「同性恋愛を大っぴらにしてなにかあるような世界ではないので、今後同性愛要素は空気です」という意味だとは思わなかったな。てっきり「同性恋愛を大っぴらにしてなにかあるような世界ではないので、同性愛を自然に表明できる世界だからこその物語にしますよ」ってことかと……。
ただ、なんだかんだでこういう爽やかな最終回は好き。なんだかんだで人の本気に応えて起こる奇跡ってグッと来ちゃうし。エラン関連の拾い方とか単一の場面だけに限って言えば素晴らしかった場面も数多くあり、だからこそ流れを掘り下げて私の中の「オッいい感じに収めようとしとるやん」みたいな邪念をぶっ潰してほしかった。
良し悪しでなく気になることとしては「風向きおばさんズなんかギャグ顔敗北で終わって数年後まったりしてたけどいいのか」「シャディク、クワイエットゼロの一件も背負うのであればまず間違いなく極刑では…?嫌だ!!!嫌だ!!!!!」ということ。シャディク……